内面(頭頂骨の)Facies interna (Ossis parietalis)

J0039 (右の頭頂骨:内側からの図)
解剖学的特徴
頭頂骨の内面(脳面)は、大脳半球の外側面を収容するために全体的に凹面を呈しています(Standring, 2016)。この内面には以下の重要な解剖学的構造が観察されます:
- 脳回圧痕(Impressiones gyrorum):大脳皮質の脳回に対応する浅い隆起状の圧痕が見られます(Moore et al., 2018)。
- 脳溝圧痕(Impressiones sulcorum):大脳皮質の脳溝に対応する浅い溝状の圧痕が観察されます。これらは指圧痕とも呼ばれ、脳の表面形態を反映しています(Netter, 2019)。
- 顆粒窩(Foveolae granulares):特に矢状縫合に沿った領域に多数見られる小さな陥凹で、くも膜顆粒(Pacchioni顆粒)を収容します。これらは脳脊髄液の吸収に重要な役割を果たします(Standring, 2016)。
- 動脈溝(Sulci arteriosi):中硬膜動脈の前頭枝と頭頂枝が走行する溝が樹枝状に分岐しながら内面を走ります。これらの溝は骨の内板に刻まれ、特に翼点付近から上方に向かって明瞭に観察されます(Moore et al., 2018)。
- 静脈溝および導出静脈孔:板間静脈(diploic veins)が骨外に出るための小孔が散在し、これらは頭蓋内外の静脈系を連絡します(Standring, 2016)。
- 矢状溝(Sulcus sagittalis):上縁に沿って走る浅い溝で、上矢状静脈洞の一部を収容します(Netter, 2019)。
臨床的意義
- 頭蓋内圧亢進:慢性的な頭蓋内圧亢進により、脳回圧痕が深くなり、指圧痕が顕著になることがあります(特に小児)。これは頭蓋単純X線写真やCTで「打痕様頭蓋(beaten copper skull)」として観察されます(Greenberg, 2016)。
- 硬膜外血腫:頭部外傷により中硬膜動脈が損傷されると、硬膜と頭蓋骨内面の間に血液が貯留します。動脈溝の走行を理解することは、血腫の進展範囲を予測する上で重要です(Bullock et al., 2006)。
- 開頭術のランドマーク:脳神経外科手術において、頭頂骨内面の動脈溝の位置を把握することは、中硬膜動脈の損傷を避けるために重要です(Rhoton, 2007)。
- くも膜顆粒と静脈洞血栓症:顆粒窩に収容されるくも膜顆粒は脳脊髄液を静脈系に還流させる構造です。これらの機能障害は水頭症の原因となり得ます(Greenberg, 2016)。
- 骨折のパターン:頭頂骨骨折は、内面の動脈溝に沿って伝播しやすい傾向があります。線状骨折が静脈溝を横切る場合、導出静脈の損傷による出血のリスクがあります(Bullock et al., 2006)。
頭頂骨内面の詳細な解剖学的理解は、神経放射線診断、脳神経外科手術、および頭部外傷の評価において不可欠です。特に動脈溝と静脈系の走行は、臨床的に重要なランドマークとなります(Standring, 2016; Moore et al., 2018)。
参考文献
- Bullock, M. R., Chesnut, R., Ghajar, J., et al. (2006). Surgical management of acute epidural hematomas. Neurosurgery, 58(3 Suppl), S7-15.——硬膜外血腫の外科的管理に関するガイドライン。中硬膜動脈損傷と血腫形成について詳述。