前篩骨孔 Foramen ethmoidale anterius

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J0037 (前頭骨:下方からの図)

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J0041 (篩骨:上方からの図)

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J0043 (右の篩骨迷路:外側からの図)

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J0089 (右の翼口蓋窩、外側からの図)

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J0090 (右の眼窩:前方からの図)

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J0091 (右の眼窩、アノテーション付き:前方からの図)

解剖学的特徴

位置と構造

前篩骨孔は、篩骨眼窩板(篩骨迷路の外側板)の上縁と前頭骨眼窩部の間に形成される重要な孔です (Erdogmus and Govsa, 2006)。この孔は前頭篩骨縫合上またはその近傍に位置し、前篩骨切痕とも呼ばれます (Arora et al., 2016)。

解剖学的には、眼窩内側壁の上部に開口部があり、篩骨蜂巣を通って前頭蓋窩へと通じる管状構造を形成しています (Stammberger et al., 1991)。前頭骨と篩骨が接する前頭篩骨縫合線上に存在し、両骨の切痕が合わさることで完成される構造です (Lee et al., 2000)。

通過する神経血管構造

前篩骨孔を通過する主要な構造物には以下があります:

解剖学的変異

前篩骨孔の位置には顕著な個人差および人種差が存在します。日本人を対象とした詳細な研究では、約30.7%の頭蓋で前篩骨孔が前頭篩骨縫合よりも上方(前頭骨内)に位置することが報告されています (Takahashi et al., 2011)。側面的な位置変異も約23.2%で観察され、この変異は外科的アプローチの計画において重要な考慮事項となります。

また、前篩骨孔が二重孔として存在する変異も報告されています。この場合、前篩骨動脈と神経が別々の孔を通過することになり、CT画像での術前評価が重要です (Cankal et al., 2004)。孔の数、大きさ、形状の変異は、内視鏡手術や眼窩手術の際のリスク評価に影響を与えます。

臨床的意義

内視鏡下鼻副鼻腔手術(ESS)における重要性

前篩骨孔は、内視鏡下鼻副鼻腔手術における最も重要な解剖学的ランドマークの一つです (Stammberger and Kennedy, 1995)。この構造の同定は以下の理由で重要です: