外頭蓋底 Basis cranii externa
外頭蓋底とは、下顎骨や舌骨を除く頭蓋骨の下面を指します。解剖学的に重要な構造物が密集するこの領域は、頭蓋と顔面の接続部として機能します(Gray and Williams, 2020)。
解剖学的境界と構造
外頭蓋底の範囲は、以下の解剖学的ランドマークによって定義されます(Standring, 2021):
- 前方:上顎骨の歯槽弓から始まる。
- 側方:側頭下稜と頬骨弓の後端。
- 後外側:乳様突起の内側部分。
- 後方:上項線から外後頭隆起に至る。
重要な解剖学的構造物
外頭蓋底には、以下の重要な構造物が存在します(Moore et al., 2019):
- 大後頭孔(Foramen magnum):延髄と脊髄の連続部、脊髄動静脈、副神経などが通過。
- 頸動脈管(Canalis caroticus):内頸動脈の通路。
- 頸静脈孔(Foramen jugulare):内頸静脈、舌咽神経、迷走神経、副神経が通過。
- 破裂孔(Foramen lacerum):内頸動脈が通過。
- 茎乳突孔(Foramen stylomastoideum):顔面神経の出口。
- 舌下神経管(Canalis hypoglossalis):舌下神経の通路。
臨床的意義
外頭蓋底は全体的にふくらみを帯び、不整で複雑な表面を持っています。この複雑な解剖学的構造は、臨床的に重要な意味を持ちます(Netter, 2022):
- 頭蓋底骨折:高エネルギー外傷で生じ、脳脊髄液漏や脳神経損傷をきたす可能性があります。
- 頭蓋底腫瘍:髄膜腫、脊索腫、聴神経鞘腫などが発生し得ます。