大腿部 Regio femoris

大腿部は、解剖学的に股関節(articulatio coxae)から膝関節(articulatio genus)までの領域で、下肢の中でも最も大きな筋群を含む部位です(Standring, 2020)。中心に位置する大腿骨(os femoris)は人体最大の長管骨であり、近位端の大腿骨頭(caput femoris)が寛骨臼(acetabulum)と関節を形成し、遠位端は膝関節の一部を構成します(Moore et al., 2018)。

解剖学的区分

解剖学的に大腿部は以下の4つの領域に区分されます(Netter, 2019):

臨床的意義

大腿部は外傷を受けやすい部位であり、大腿骨骨折は高齢者や交通事故患者でよく見られます(Browner et al., 2019)。また、大腿三角部での大腿動脈へのアプローチは血管造影などの医療処置で重要です。深部静脈血栓症(DVT)も大腿部の静脈に好発し(Goldhaber and Bounameaux, 2012)、内側広筋(m. vastus medialis)の筋力低下は膝蓋骨の不安定性を引き起こす可能性があります。さらに、坐骨神経痛は後大腿部を通過する坐骨神経の圧迫により生じることがあります(Ropper and Zafonte, 2015)。

参考文献