三角筋部 Regio deltoidea
三角筋部は、肩関節の外側を覆う解剖学的領域で、肩の丸みを形成する隆起部位です。この領域は主に三角筋(m. deltoideus)によって占められ、上肢の外転運動において中心的な役割を果たします(Standring, 2020)。三角筋部は肩の形態的特徴を決定する重要な解剖学的ランドマークであり、臨床的には筋肉注射部位や神経損傷の評価において重要な意義を持ちます(Moore et al., 2018)。

J0391 (人体の部位:前面図)

J0392 (人体の部位:背面図)
解剖学的特徴:
位置と境界:
- 三角筋部は鎖骨外側1/3、肩峰、肩甲棘から起始し、上腕骨中央外側の三角筋粗面(tuberositas deltoidea)に停止します(Standring, 2020; Netter, 2018)。
- 上方境界:鎖骨外側1/3と肩峰により形成されます(Moore et al., 2018)。
- 内側境界:肩甲棘と肩甲骨外側縁に接します(Drake et al., 2019)。
- 外側境界:上腕骨の三角筋停止部で、上腕二頭筋の長頭腱溝(sulcus intertubercularis)と隣接します(Agur and Dalley, 2021)。
- 前方境界:大胸筋外側部と接し、三角筋胸筋溝(sulcus deltopectoralis)により区分されます(Standring, 2020)。
- 後方境界:広背筋上部および大円筋と接します(Palastanga et al., 2012)。
層構造:
- 皮膚:比較的厚く、可動性があります(Standring, 2020)。
- 皮下組織:脂肪組織と浅筋膜を含み、皮静脈と皮神経が走行します(Moore et al., 2018)。
- 三角筋筋膜:三角筋を覆う深筋膜で、周囲の筋膜と連続しています(Drake et al., 2019)。
- 三角筋:前部線維、中部線維、後部線維の3部に分けられ、それぞれ異なる機能を持ちます(Standring, 2020)。
- 肩峰下滑液包(bursa subacromialis):三角筋深層、肩峰と回旋筋腱板の間に位置します(Netter, 2018)。
- 骨膜:上腕骨と肩甲骨を覆います(Moore et al., 2018)。
三角筋の構造と機能:
- 前部線維(pars clavicularis):鎖骨外側1/3から起始し、上腕の屈曲と内旋に関与します(Standring, 2020)。