鎖骨下窩 Fossa infraclavicularis

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J0809 (18歳女性の右乳房)

解剖学的定義と位置

鎖骨下窩(Fossa infraclavicularis)は、鎖骨の直下に位置する三角形の凹みで、解剖学的に重要なランドマークです(Moore et al., 2018)。この窩は、大胸筋の鎖骨部(pars clavicularis musculi pectoralis majoris)と三角筋(musculus deltoideus)の間に形成されています。外側境界は三角筋の前縁、内側境界は大胸筋の外側縁、上方境界は鎖骨の下縁によって画定されています。窩の底部には小胸筋(musculus pectoralis minor)が存在します(Standring, 2020)。

神経血管構造

この領域には重要な神経血管構造が含まれており、特に鎖骨下動脈(arteria subclavia)と腋窩動脈(arteria axillaris)の移行部、および腕神経叢(plexus brachialis)の上部が通過しています(Drake et al., 2019)。鎖骨下静脈(vena subclavia)も同様にこの領域を通過します。Agur and Dalley(2017)によると、この領域の血管配置は外科的処置において特に重要な考慮事項となります。

臨床的意義

臨床的には、鎖骨下窩は中心静脈カテーテル挿入の重要なアプローチ部位であり、また腋窩リンパ節(nodi lymphatici axillares)の触診や上肢の神経血管障害の評価においても重要な領域です(Netter, 2019)。胸部外傷や鎖骨骨折の際には、この領域の血管や神経の損傷に注意が必要です(Sinnatamby, 2011)。また、モーレンハイム窩(Mohrenheim's fossa)とも呼ばれ、上肢の循環不全や神経障害の評価において重要な解剖学的指標となります。

参考文献

東洋医学との関連性