眼 Oculus

視覚器官である眼球は、直径約24mmの球形の構造物です。解剖学的に眼球壁は3層構造(外膜、中膜、内膜)に分けられます(Gray, 2020)。外膜は前方の透明な角膜と後方の強膜から成り、眼球の形状を維持します。中膜は脈絡膜、毛様体、虹彩から構成され、豊富な血管を有します(Moore et al., 2018)。内膜である網膜には視細胞(杆体細胞と錐体細胞)が存在し、光刺激を電気信号に変換します。

眼球の構造

眼球内部は前眼房(角膜と虹彩の間)、後眼房(虹彩と水晶体の間)、硝子体腔(水晶体後方の空間)に区分されます(Snell and Lemp, 2013)。前・後眼房には房水が、硝子体腔には硝子体が満たされています。水晶体は透明な両凸レンズで、毛様体筋の収縮・弛緩により厚さを変え、焦点調節を行います。

視覚経路

眼球から伸びる視神経は第II脳神経で、網膜の神経節細胞の軸索から構成されています。視神経は視交叉を経て視索となり、外側膝状体を介して後頭葉の一次視覚野に到達します(Kandel et al., 2021)。臨床的には、緑内障(眼圧上昇による視神経障害)、白内障(水晶体の混濁)、加齢性黄斑変性、網膜剥離などの疾患が重要です。

参考文献

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J0984 (右眼の前部、後方からの図)

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J0988 (右眼の後半部分:前方からの図)

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J0993 (角膜と虹彩を取り除いた後の眼球の水晶体と水晶体放線:前方からの図)

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J0994 (角膜と虹彩を取り除いた後の眼の水晶体と水晶体放線:前方からの図)