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片山正輝

目次(V. 神経系)

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図399(脊髄神経節の構成およびその細胞の模型図:脊髄および交感神経幹との結合関係を示す)図579(交感神経における線維の走行を示す模式図)図580(交感神経(赤)と副交感神経(青)の模式図) 参照)

原則として、中枢神経と末梢の間の伝導は2つのニューロンのみが担う。これは求心性(受容性)と遠心性(効果性)の両経路に適用される。

遠心性経路について考察しよう。交感神経の第1次効果性ニューロン(I. effektorisches Neuron)の細胞体は中脳・延髄・脊髄に存在し、その軸索は交感神経の脳脊髄性運動性(効果性)線維と呼ばれる。

脊髄では、その細胞体は側柱およびその後方に続く灰白質の辺縁部に位置する。軸索は前根に沿って出て、白交通枝を通り交感神経幹に到達する(図399(脊髄神経節の構成およびその細胞の模型図:脊髄および交感神経幹との結合関係を示す))。

中脳と延髄から発する交感神経線維は、動眼神経・顔面神経・舌咽神経・迷走神経を経由する。

交感神経のこの第1次効果性ニューロンの軸索有髄である。これらは様々な長さの経路を経て、交感神経幹の神経節または末梢の交感神経節の細胞で終止する。そのため、これらの線維は節前線維(Fibrae praeganglionares、präganglionäre Fasern、Langley)と呼ばれる。

一方、交感神経の第2次効果性ニューロン(II. effektorisches Neuron)の軸索は無髄である。これを節後線維(Fibrae postganglionares、postganglionäre Fasern、Langley)と呼ぶ。これらの多くは、さらなるニューロンを介することなく直接終末領域に達する。そのため、通常、中枢神経と末梢を結ぶのは2つのニューロンのみとなる。ただし、特定の領域には交感性の第3次および第4次ニューロンが存在する可能性もある。

節後線維の大多数は交感神経の諸枝とこれらが形成する神経叢を通って様々な内臓に至る。あるいは、交通枝を経て脊髄神経に達し、脊髄神経の枝とともにその終末領域(血管・皮膚とその付属器官)に至る。少数のものは脊髄神経節に達する。

求心性の経路は主に無髄性の線維からなる。その一部は節後線維で、他の一部は脊髄神経節の細胞から末梢への突起である。これらの突起は興奮を脊髄神経節の細胞に伝え、その興奮は脊髄神経節の細胞からさらに中枢方向に伝えられる。この興奮の一部は脊髄に達して反射を引き起こし、また一部は脳に達して意識にのぼる。

機能および特定の化学物質に対する反応によって、次のものを区別する:

I. 狭義の交感神経は交感神経幹とその神経節、さらにこれらの神経節から出る多くの枝とそれが形成する神経叢からなる。その節前線維は脊髄の第8頚分節から第2あるいは第3腰分節に至る部分のみから発している(図579(交感神経における線維の走行を示す模式図))。

II. 副交感神経Parasympathicus。これは形態学的には識別できず、機能的な概念にすぎない。Hirtによれば、交感神経幹から起こらず、交感神経と並行して植物性機能の諸器官に分布する神経要素がすべてこれに属する。その節前神経は中脳(脳部Pars encephalica)、延髄(菱脳部Pars rhombencephalica)、仙髄(仙髄部Pars sacralis)(S. II~IV)より起こっている。Hirt、Kiss、Ken Kuréによれば、副交感神経線維は脊髄のすべての部分から発する(Kuréの脊髄副交感神経Spinalparasympathicus)。したがって、次のものを区別する必要がある:

I. 脳部Pars encephalicaは1. 中脳部Pars mesencephalicaと2. 菱脳部Pars rhombencephalicaに分かれる。

II. 脊髄部Pars spinalisは頚髄部Pars cervicalis・胸髄部Pars thoracica・腰髄部Pars lumbalis・仙髄部Pars sacralisに分かれる(図580(交感神経(赤)と副交感神経(青)の模式図))。

したがって、交感神経系と副交感神経系の節前線維は中枢神経内の異なる場所から起こるが、両者の節後線維同一の器官を支配している(図579(交感神経における線維の走行を示す模式図))。しかし、両系統は多くの場合、相反的に作用する。

例えば、動眼神経内を走行する副交感線維は瞳孔を縮小させるが、交感神経由来の線維はこれを拡大させる。また、副交感性の迷走神経は心臓の運動を抑制し、交感神経はこれを促進する。これとは逆に、腸では迷走神経がその運動を促進し、交感神経が抑制する。特定の化学物質に対する反応については、生理学および薬理学の専門書を参照されたい。

Langley, Das autonome Nervensystem, übersetzt von E. Schilf, Berlin 1922. Ken Kuré, Über den Spinalparasympathicus. Basel 1931.

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[図579]交感神経における線維の走行を示す模式図(A. Köllikerより)

PG:末梢神経節、Gs:交感神経幹神経節、PK:ファーター・パチニ小体、Rca:白交通枝、Rcgr:灰白交通枝、St:交感神経幹