胸壁内面のリンパ管は前縦隔部肋間隙の2部に分けられる。後者は後縦隔部のリンパ管と連結している。

a) 前縦隔部のリンパ管は腹腔と前腹筋群から始まり、横隔膜の胸肋骨起始部を通過して胸骨後方を上行する。内胸動静脈近傍の胸骨リンパ節(Lymphonodi sternales)および前縦隔リンパ節(Lymphonodi mediastinales ventrales)(RK725(頭部、頚部、胸部のリンパ管))と連絡し、左は胸管に、右は右リンパ本幹に開口する。このリンパ管は横隔膜面と肋間隙前部のリンパ管を受容する。

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RK725(頭部、頚部、胸部のリンパ管)

b) 肋間隙のリンパ管は肋間隙を後方に進み、脊柱付近で背部からのリンパ管を受け取る。肋間隙後部の肋間隙リンパ節(Lymphonodi intercostales)を通過し、特に後方で網状構造を形成して相互に結合する。この網から出るリンパ管の一部は縦隔後部の後縦隔リンパ節(Lymphonodi mediastinales dorsales)を通過する。最終的にはいずれも左右から胸管に流入する。