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脳硬膜は脳の外側を包む被膜であると同時に、頭蓋骨の内面を覆う骨膜(頭蓋内膜Endocranium)でもある。
子供では頭蓋の内面に比較的強く付着しているが、成人では多くの場所で頭蓋骨とゆるく結合しているにすぎない。ただし、頭蓋縫合部および特に蝶形骨体と後頭骨体では、成人でもその結合が密である。脳硬膜の外面は骨と結合する線維束のために粗であるが、内面は平滑で光沢がある。内面は完全に内皮に覆われ、外面は骨と結合する線維束の間のみが内皮に覆われている。
硬膜の平滑な内面は以下の構造によって他の脳膜と結合している:
硬膜が2枚に分かれている箇所は多く見られる:
硬膜の諸突起:
a) 外方への突起:脳神経の硬膜鞘Durascheiden。脊髄硬膜が脊髄神経に鞘を与えるのと同様に、脳硬膜は脳神経に丈夫な鞘を提供する。
この鞘の始まりの部分はロート状で、脳膜漏斗Infundibula meningicaと呼ばれる。この漏斗は三叉神経で特に大きく、半月神経節とこれに隣接する根線維の端が共に硬膜とクモ膜の作る一つの扁平な嚢に包まれ、三叉神経圧痕の上に位置する。また、顔面神経と内耳神経の根における脳膜漏斗も大きく、これらの神経根は内耳道内で硬膜とクモ膜の作る管状の突起に包まれている。脳膜漏斗は硬膜下腔と軟膜腔の膨出部を含み、これらは三叉神経の根束と半月神経節、および内耳道の内部で特に広がっており、臨床医学上大きな意義を持つ(Ferner, H., Z. Anat. Entw.,114. Bd.,1948)。
b) 内方への突起:内方への突起には矢状方向に伸びる2つと横方向に広がる2つがあり、これらによって頭蓋腔は脳の主要部分に対応するいくつかの小室に不完全に分けられる。矢状方向の突起は脳鎌Hirnsicheln、すなわち大脳鎌Falx cerebriと小脳鎌Falx cerebelliと呼ばれ、横方向の突起は小脳天幕Tentorium cerebelliと鞍隔膜Diaphragma sellaeである。(鎌の音は「レン」、訓は「カマ」だが、大脳鎌、小脳鎌などでは訓で読む方が分かりやすい。(小川鼎三))小脳天幕は下方の頭蓋腔を上方の頭蓋腔から完全には閉ざしていない。この開口部の前方境界は鞍背であり、外側かつ後方の境界は小脳天幕の前縁にある深い切れ込み、すなわち天幕切痕Incisura tentoriiによって形成される。