097.png

図97 分岐神経の形態(千葉ら, 1994)

( )は445例中の出現頻度を示します。分岐神経は、大腿神経(Fem)、閉鎖神経(Obt)、腰仙骨神経幹(Ts)に分けられるか、または腰・仙骨神経叢の双方にまたがる神経と定義され、通常はL4(第24脊髄神経)に相当します。上段には分岐神経(点線で示す)の頭方移動型(L3、L3・L4型)、下段には尾方移動型(L4・L5型)を示し、後者が前者よりも数倍多く出現しています。

分岐神経が重複する場合(L3・L4, L4・L5型)には、下位の分岐神経はa型では二分、b型では三分しています。その際、a型はb型よりもわずかに頭方に移動しています。中段のL4が分岐神経でも、腰仙骨神経幹への枝が太い(L)、通常(N)、細い(S)場合を区別できます。

L4・TsL型はL4・TsN型(正常例)よりも神経叢がわずかに頭方に移動し、反対にL4・TsS型はL4・TsN型よりもわずかに尾方に移動しています。分岐神経の変化は、腰・仙骨神経叢の移動、仙前椎数の変化、岬角の形態などと密接に関連しています。