https://funatoya.com/funatoka/Rauber-Kopsch.html

目次(III. 脈管系)

funalogo.gif


641.png

RK641(外頚動脈の深部枝)

642.png

RK642(顔面動脈と顎動脈)

顎動脈は外頚動脈からより太い終枝として直角に分岐する。その起始部は顎関節の下方に位置し、耳下腺に覆われている。この蛇行する動脈は、下顎頚と蝶顎靱帯の間を水平に前方へ進み、外側翼突筋と側頭筋の間に到達する。その後、外側翼突筋の両頭の間を通過し、翼口蓋窩に入って終枝に分かれる。この経路に基づき、顎動脈は下顎部(Pars mandibularis)、翼突部(Pars pterygoidea)、翼口蓋部(Pars pterygopalatina)の3部に分類できる。

A. 下顎部の枝(ほとんどが骨内の管に入る)

a) 深耳介動脈(A. auricularis profunda):小枝で、顎関節の後方、外耳道、および鼓膜に至る。外耳道への枝は鼓室部の前壁と錐体鼓室裂を貫く。その一枝は鼓膜に達し、皮膚層に広がる。

b) 前鼓室動脈(A. tympanica anterior):顎関節を養い、錐体鼓室裂に至る。茎乳突孔動脈とともに鼓室内の諸器官と壁に分布する。

c) 中硬膜動脈(A. meningea media):脳硬膜への最太動脈で、often顎動脈の最太枝。下顎神経の硬膜枝とともに棘孔を通り頭蓋腔に入る。様々な高さで前枝と後枝に分かれ、硬膜外面の骨壁溝を走る。脳膜、骨、(穿通枝により)頭蓋外面軟部を養う。前枝は前頭蓋窩・眼窩・鼻腔に、後枝は主に頭頂骨領域と後頭骨上部に分布。

錐体鱗裂から小枝が鼓室と乳突蜂巣に入る。幹から出る細枝には、浅錐体枝(R. pyramidis superficialis)が鼓膜張筋へ、上鼓室枝(R. tympanicus superior)が顔面神経管裂孔を通り鼓室へ入り茎乳突孔動脈と連絡。第3枝は小浅錐体神経管内口から鼓室へ。眼動脈枝との吻合は557頁参照。

頭蓋外で顎動脈または中硬膜動脈から副硬膜枝(Ramus meningeus accessorius)が出ることがある。内外翼突筋、口蓋下方筋群、耳管に枝を与え、卵円孔を通り半月神経節と隣接脳硬膜を養う。

d) 下歯槽動脈(A. alveolaris inferior)

641.png

RK641(外頚動脈の深部枝)

642.png

RK642(顔面動脈と顎動脈)

下顎管を走り、オトガイ孔から太い側枝オトガイ動脈(A. mentalis)を出す。オトガイ動脈はオトガイと下唇で分枝し、下唇動脈およびオトガイ下動脈枝と吻合。下顎管入口前に長い顎舌骨筋枝(R. mylohyoideus)を出し、同名神経とともに下顎骨の顎舌骨神経溝を顎舌骨筋へ向かう。下顎管内で多数の小枝を骨・歯槽・歯・歯肉へ送る。

B. 翼突部の枝(咀嚼筋群に至る)

641.png

RK641(外頚動脈の深部枝)

642.png

RK642(顔面動脈と顎動脈)

e) 後深側頭動脈(A. temporalis profunda posterior):頭蓋骨と側頭筋の間を上方に進み、側頭筋の後部を養う。

f) 前深側頭動脈(A. temporalis profunda anterior):後深側頭動脈と同様に側頭筋の深部に達する。しばしば頬骨管を経由して涙骨動脈および顔面に枝を送る。

g) 咬筋動脈(A. masseterica):下顎切痕を通って咬筋に達する。その起始は後深側頭動脈と共通幹を形成することが多い。

h) 翼突筋枝(Rr. pterygoidei):内外両翼突筋に至る複数の枝。