管状骨の内腔および海綿質の多数の空隙は、軟らかく海綿状で血管に富む器官、すなわち骨髄(Medulla ossium, Knochenmark)で満たされている(図103,107)。そのため、管状骨の内部にあるこの大きな空所を髄腔(Cavum medullare, Markraum)と呼ぶ。骨髄は黄色骨髄赤色骨髄(Medulla ossium flava et rubra)の2種類がある。黄色骨髄は多数の脂肪細胞を含むが、純粋な脂肪組織ではない。誕生時にはすべての骨に赤色骨髄が存在するが、成長とともに体肢の骨では徐々に黄色骨髄に置き換わる。

成人の管状骨の髄腔は黄色骨髄で満たされている。一方、赤色骨髄は主に管状骨の海綿質内に存在し、さらに椎体・肋骨・胸骨、頭蓋骨の海綿質(板間層)、そして手根骨・足根骨にも存在する。高齢者では骨髄がしばしば半透明になり、膠様骨髄(Medulla ossium gelatinosa)となる。

G. Wetzel(Z. ges. Anat., 82. Bd., 1927)によると、骨髄という器官の全容積は20歳の男性で2915cm³、55歳の男性で4192cm³である。そのうち赤色骨髄は20歳で1420cm³、55歳で2558cm³である。新生児の骨髄は平均67cm³で、男児は女児に比べて大きい。

骨髄の実質を支持するのは結合組織の線維である。この線維は発生過程、組織配列、組織化学的所見から、リンパ性器官の細網線維に相当する。この支持構造内の細胞要素は、骨髄細胞・巨大細胞・白血球に分類される(58頁)。骨髄にも血管・リンパ管・神経が存在する。一部の研究者によると、この血管の内皮は赤血球の産生に関与するという。

管状骨の髄腔内で、骨髄は緻密質の内面に対して骨内膜(Endosteum)という薄い膜で境界されている。

Hammar, J. A., Anato. Anz., 19. Bd., 1901. - Jackson, Arch. Anat. u. Phys., 1904. - Rohr, K., Das menschliche Knochenmark. Leipzig 1940.