(RK662(腹大動脈とその主な枝)、RK663(腹腔動脈とその枝))

この動脈は腹大動脈の始部で前壁から起始し、横隔膜の脚を越えて進み、横隔膜の下面に広がる。左側のものは食道の後方を、右側のものは下大静脈の後方を通る。

横隔膜の腱中心に達する前に前枝と後枝の2本に分岐する。前枝は横隔膜の前縁で筋横隔動脈と吻合し、後枝は側方に進んで胸郭の側壁に達し、肋間動脈の枝と連絡する。

下横隔動脈の起始部から腎上体枝Rr. suprarenalesという小枝が出て、下行して腎上体に達する。左下横隔動脈は食道に、右側のものは下大静脈に枝を与える。その他の小枝が腹膜に分布する。

**変異：**起始に様々な変化が見られる。この動脈は個別に分かれて出ることもあれば、1本の共通幹として出ることもある。共通幹は大動脈や腹腔動脈から出ることがある。個別に始まる場合でも、両方とも大動脈から出たり、腹腔動脈から出たり、さらには腎動脈から出ることさえある。また、一方の下横隔動脈がこれらの起始部の1つから始まり、他方がそれ以外の起始部から出ることもある。時には、ここに挙げていない動脈の枝が横隔膜の下面に分布することもある。