骨膜(Periosteum, Beinhaut)は、関節軟骨と多くの筋付着部を除き、骨の全周を包む線維性の膜である。その厚さは場所によって様々で、時に上層の粘膜と癒着して一体化することもある。骨膜は、その下の骨から比較的容易に剥離することができる(RK177(骨膜骨髄) )。

顕微鏡で観察すると、骨膜は通常2層構造である。外層は、絡み合った結合組織束と弾性組織からなる線維性の層で、内層は増殖性(generative)の層である。内層は外層よりも柔らかく、より細かい線維束と豊富な弾性線維を含む。この層には多数の細胞が存在し、時に密集して集まっている。増殖層は、成人では骨芽細胞に加えて破骨細胞も含むことがある。この層は、骨膜性骨発生の初期機能を継続し、骨の損傷や欠損時の再生において重要な役割を果たす。さらに、他の場所に移植されても新しい骨を形成する能力を持つ。骨膜からはシャーピー線維束が骨に侵入している。また、骨膜には多数の血管、リンパ管、神経が存在する。

軟骨膜(Perichondrium, Knorpelhaut)は骨膜と同様に硬い線維性の膜で、その下層の軟骨から容易に剥離できる。

血管は骨膜の両層に存在するが、線維性層の血管がより太い。これらの血管は、フォルクマン管、ハヴァース管、およびより太い管を通じて、無数の箇所から骨内部へ侵入する。骨の深部や骨髄内まで達する比較的太い血管は栄養血管(Vasa nutricia)と呼ばれる。実際には、骨に分布するすべての血管がこの名称に値するが、長骨では骨幹部と関節端の両方に多数の栄養血管が存在する。

リンパ管は骨膜、骨質内、および骨髄との境界に存在する。骨髄と骨質の境界では、2層の内皮層間に多数のリンパ間隙がある。外側の内皮層は骨質に密着している。同様の構造が、やや小規模ながら骨膜にも見られ、外部へ向かうリンパ管と連結している。骨質内部でも、血管周囲に広範なリンパ管網が存在し、最も細い毛細血管に至るまで血管に随伴している(RK161(層板内原線維の走向)、162(ハヴァース管の内容) )。

骨の神経分布は豊富だが、その程度は骨によって異なる。神経は骨膜、骨質内部、骨髄に存在し、有髄線維と無髄線維がある。血管神経や機能不明の神経に加え、知覚線維も多く見られる。骨膜全体には数千個のファーテル層板小体(Vatersche Körperchen)があり、これらは知覚神経の終末と考えられ、おそらく筋感覚に関与している。このような神経終末器官を含む膜は他にも存在するが、骨膜もその一つと考えられる。

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[図177]骨膜骨髄:大腿骨の骨幹。骨膜の一部を剥離し、右側に反転させて表示。