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RK506(頚筋と舌骨上筋 I)

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RK508(頚部の筋および舌骨上筋 II)

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RK509(頚部の筋および舌骨上筋 III)

この筋は胸骨舌骨筋と同じ層にあり、上下各1つの筋腹、すなわち上腹(Venter cranialis)と下腹(Venter caudalis)からなり、両者は1つの中間腱で結合されている。下腹は肩甲横靱帯、あるいはこの靱帯の内側で肩甲骨の上縁と烏口突起の基部から起始する。この筋は次第に薄くなりつつ内側および上方に向きを変え、鎖骨の後ろに出て中間腱(Zwischensehne)に移行する。中間腱は中頚筋膜と癒着し、頚部の大きな血管と交差している。上腹は急な傾斜で上方へ走り、胸骨舌骨筋の外側で舌骨体に停止する。

神経支配および**脊髄節との関係:**舌下神経係蹄の枝で、C I~III(Bolk)、C II~IV(Rauber)由来。

**作用:**舌骨を下方に引き、頚筋膜を緊張させる。

肩甲舌骨筋が胸鎖乳突筋と交差することで2つの重要な三角が形成される。上方は頚動脈三角(Trigonum caroticum)、下方は肩甲鎖骨三角(Trigonum omoclaviculare)である。これらの三角に相当して頚部の皮膚にくぼみがあり、それぞれ頚動脈窩(Fossa carotica)および大鎖骨上窩(Fossa supraclavicularis major)と呼ばれる(RK515(頭部の筋(III) 前面図) )。

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RK515(頭部の筋(III) 前面図)

変異:上下の両腹の一方あるいは両方が欠如することがある。上腹あるいはこの筋の全体が重複することもある。この筋が鎖骨の近くを通る際に鎖骨からの副頭(accessorischer Kopf)を受けることもまれではない。その場合、上肢帯を形成する2つの骨がこの筋の起始となる。ただし、下腹が鎖骨のみから起始することもあり、その際にはこの筋はM. cleidohyoideus(鎖骨舌骨筋)と呼ぶべきものとなる。