(RK636(胸大動脈と腹大動脈およびその枝の自然位置)、RK647(前胸壁と前腹壁の動脈)、RK661(胸郭を横断する胸大動脈の諸枝を示す模型図:上方からの断面図))
胸大動脈の後壁から、通常10対の動脈が縦に2列をなして分節的に配置される。これらは椎体の左右両側面に沿って横方向に走り、肋間隙に達する。そこで背枝(Ramus dorsalis)を出し、その後、本来の肋間動脈(A. intercostalis)としてさらに進む。
第1と第2の肋間隙の肋間動脈は通常、肋頚動脈の枝であるため、大動脈からの肋間動脈は上述のように通常10対である(567頁)。大動脈が左側に位置するため、右側の肋間動脈は左側よりも長く、椎体の前面を越えて左から右後方へ走り、分岐部に達する。そのため、左側の肋間動脈は相対的に短い。
しかし、左側の肋間動脈は下方に行くほど徐々に長くなる(RK661(胸郭を横断する胸大動脈の諸枝を示す模型図:上方からの断面図))。大動脈から出る最初の肋間動脈(erste A. intercostalis aortica)の起始は、対応する肋間隙よりも1椎体分下方にある。そのため、この動脈が肋間隙に達するには、上方に向かって鋭角を描き、右側は椎体の前面を、左側は肋骨頚を越えて進む必要がある。対照的に、下部の肋間動脈はほぼ直角に大動脈から出ている。時折、2本の肋間動脈が短い共通幹から分岐することがあり、この場合、2本の枝の経路に特徴がある。椎体の前面にある肋間動脈の部分は、椎骨と脊柱前面の靱帯に枝を送る。大動脈から出る右の第3肋間動脈は、592頁で述べたように、しばしば右気管支動脈(A. bronchialis dextra)という1本の臓側枝を出す。
**局所解剖:**左右の肋間動脈は交感神経幹の後方を走り、これと交差する。右側の肋間動脈は同時に食道、胸管、および右縦胸静脈の後方に位置する。
背枝(R. dorsalis):背枝は上下の肋骨頚の間で、内側は脊柱、外側は内肋横靱帯で囲まれた孔を通って後方に進む。まず脊髄枝(Ramus spinalis)を出し、次いで多数の筋枝を送り、その内側枝と外側枝で背筋群を養う。最後に1本の内側皮枝(R. cutaneus medialis)と外側皮枝(R. cutaneus lateralis)により皮膚を養う。
脊髄枝(Ramus spinalis)は、Rüdingerの研究によると、3本の定型的な枝をもって椎間孔を通り脊柱管に入る。これらは前小枝、後小枝、中小枝である。前小枝(Ramulus ventralis)はすぐに比較的太い上行枝とそれより細い下行枝に分かれる。これらは脊柱管の前壁で、上下両方から来る付近の同名動脈の枝と結合する。こうして左右各側にきれいな縦の血管弓(Gefäßbogen)が形成され、これが椎弓の根を取り巻き、その凸側を互いに向け合わせている。椎体の後面を通過する内側の枝が両側の血管弓を互いに結んでいる。後小枝(Ramuli dorsales)は同側および対側の付近にある小枝とつながって細かい網を作り、この網は椎弓と弓間靱帯の内面上に広がっている。ただし、後小枝の網は前小枝のものより不規則なことが多い。
第3の枝である中小枝(Ramulus medius)は、脊髄神経に沿って上行し、脊髄とその被膜に達して前および後脊髄動脈と吻合する。これにより、これら2つの動脈は長く延びた縦の血管となる。
本来の肋間動脈(A. intercostalis)は、一般に対応する肋骨よりも直線的に横走する。初めは肋間隙の後部を斜めに進み、肋骨角の近くで肋骨の下縁に達する。
この動脈は外肋間筋の内面に接している。後部では内胸筋膜のみによって胸膜の肋椎部から隔てられ、それより前方では内外肋間筋の間を走行する。その際、肋骨下枝(Ramus infracostalis)として下縁に沿い、肋骨溝の中に入る。これと並んで上方には静脈、下方には肋間神経がある。
前方では、内胸動脈の肋間枝および腋窩動脈からの胸郭枝とつながっている。
大動脈から出る最初の肋間動脈は第3肋間隙にあり、これはしばしば鎖骨下動脈から出る肋頚動脈の枝である最上肋間動脈につながる。最下の3対の肋間動脈は腹部の筋の中を前方に伸び、同側の筋横隔動脈の側枝と続いている。また側方では下横隔動脈、下方では腰動脈の枝と結合している。最下位の肋間動脈は第12肋骨の下を走るため、肋下動脈(A. subcostalis)と呼ばれる。
肋間動脈の幹は、肋骨の下縁に接する部分、すなわち肋骨角の近くで、細長い肋骨上枝(Ramus supracostalis)を出す。これは斜めに下の肋骨の上縁に至る。この枝は幹と同様に肋骨と肋間筋を養い、また近接する動脈、すなわち内胸動脈の肋間枝と吻合する。そのため、各肋間隙では典型的に重複した動脈弓が存在し、大動脈と左右の内胸動脈の間に、これらをつなぐ2本の動脈枝がある。
皮膚に向かう枝には(胸部および腹部の)外側皮枝(Rami cutanei laterales [pectorales, abdominales])と(胸部および腹部の)前皮枝(Rami cutanei ventrales [pectorales, abdominales])がある。前者はさらに後小枝(Ramulus dorsalis)と前小枝(Ramulus ventralis)に分かれる。乳腺に向かう枝は外側および内側乳腺枝(Rr. mammarii mediales et laterales)という。肋間動脈が臓側枝を出すこともあることは既に述べた(気管支動脈の項参照、592頁)。肋間動脈の神経は、Braeuckerによると、まず交感神経の縦隔枝から、次いで交通枝の範囲ではその付近にある神経叢から来ている。さらに前方では肋間神経から引き続き細い枝が出て、この動脈に達する。
[図661]胸郭を横断する胸大動脈の諸枝を示す模型図:上方からの断面図(1/4縮尺)(Henleによる)
A 胸大動脈、a, a 肋間動脈、b 筋枝、c 脊髄枝、d 内胸動脈、e 内胸動脈の肋間枝、f 胸骨枝、g 穿通動脈。内胸動脈の肋間枝、肋間動脈の前枝、内胸動脈の胸骨枝が互いに結合することで、各肋骨の高さに動脈輪arterielle Gefäßkränzeが形成される。これは特定の条件下でより完全な発達を示すことがある。h, h, i, i 後方および前方の臓側枝。