これは太い動脈で、広背筋の腱より近位で後方に向かう(RK646(肩の後面における動脈)RK649(腋窩動脈) )。外側腋窩隙を通り抜け、上腕骨を回って三角筋に枝分かれする。また、肩関節を養うとともに、掌側上腕回旋動脈、肩甲上動脈、胸肩峰動脈の枝と吻合している。

**変異:**腋窩動脈の不規則な枝分かれについては既に述べたが、さらに以下のような変異がしばしば見られる。最も多いのは、1本の非常に太い肩甲下動脈が出現し、通常は腋窩動脈から直接分岐する枝だけでなく、本来上腕動脈から出るべき動脈までも分岐する場合である。肩甲下動脈と背側上腕回旋動脈が共通幹から出る頻度は、ヨーロッパ人で6.6%、日本人で39.8%である(Adachi)。また、上腕深動脈A. profunda brachiiが背側上腕回旋動脈から分岐することも非常に多く、その頻度はヨーロッパ人で20.9%、日本人で23.8%である(Adachi)。

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[図649腋窩動脈(1/2)

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[図650] 上腕(右)の動脈、掌側(1/2)

*上腕三頭筋の腱と広背筋の腱の連結。