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目次(III. 脈管系)

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これは耳介の後方で後頭静脈 V. occipitalisと耳介後静脈 Vena retroauricularisが合流して形成される。その後、広頚筋と浅頚筋膜の間を下方に進み、頚部下部で胸鎖乳突筋の後縁に達する。そして肩甲舌骨筋の下腹の前方または後方で、頚筋膜の浅葉と中葉を貫き、1本または2本以上の小幹となって腕頭静脈に開口する。時には内頚静脈または鎖骨下静脈にも開口することがある(RK680(頚部浅層の静脈))。中央部にしばしば1対の弁がみられ、下端の開口部には常に1対の弁が存在する。

経路中に周囲から細い静脈を受け入れ、上方では下顎後静脈あるいは顔面静脈と1本の太い吻合枝でつながっている。下顎後静脈または顔面静脈がこの静脈に移行することもある。この静脈に流入するものは以下の通りである:

a) 後頭静脈 V. occipitalis:分布領域は同名の動脈と一致する(RK681(頭部の静脈(I):浅層の静脈))。

b) 耳介後静脈 V. retroauricularis:耳の後方の浅層静脈叢から起こり、しばしば乳突導出静脈も受け入れる(RK680(頚部浅層の静脈))。

c) 前浅頚静脈 V. jugularis superficialis ventralis(RK680(頚部浅層の静脈)):舌骨の高さでオトガイ下部の複数の皮静脈が集まって形成される。時に正中線近くを走行し、左右両側に共通な1本の幹、すなわち頚正中静脈Vena mediana colliを形成することがある。この場合、1つの静脈網が前頚部の血液を集めてこれに注ぐ。

他の場合は胸鎖乳突筋の前縁に沿って走行し、この筋に覆われて外側に向かい、外側浅頚静脈と合流する。あるいは外側浅頚静脈と吻合して鎖骨下静脈に開口する。左右の前浅頚静脈の下部はしばしば横走する静脈弓、頚静脈弓 Arcus venosus juguli(その一部が胸鎖乳突筋に覆われる)によって互いにつながっている。前頚部の静脈網から短い小幹のみが出て、頚部下部の横走静脈に開口することもある。この横走静脈は左右の外側浅頚静脈の下端部とつながっている。

d) 肩甲上静脈 V. suprascapularis:通常2本の静脈からなり、同名動脈の両側を走行する。これらは集まって1本の小幹となり、外側浅頚静脈の下端部か鎖骨下静脈に開口する。

e) 頚横静脈 Vv. transversae colli:同名の動脈と並走し、しばしば肩甲上静脈と合流して1本の幹を形成する。この幹は外側浅頚静脈か鎖骨下静脈に開口する。