(RK492(腹筋)、RK502(**胸部および腹部の筋:**側面図III) )
この筋は内腹斜筋と腹直筋に覆われている。6個の尖頭をもって第7~第12肋軟骨の内面、腰腱膜(この筋の起始腱膜とみなせる)、腸骨稜の内唇、鼡径靱帯の外側1/2から起始する。その線維束は横方向に走り、停止腱膜への移行は内側に凹の線を描いている。
この腱膜は腹直筋に対して、高さにより異なる態度をとる。腱膜の上部は腹直筋鞘の後壁形成に関与する。また、この部分は内腹斜筋の腱膜後葉と融合し(RK494(**前腹壁の横断面:**腋窩下部)、495(**前腹壁の横断面:**臍部)、496(**前腹壁の横断面:**臍下部) )、共に同じ距離だけ下方に延びて、半環状線に達する。腱膜の下部は内腹斜筋の腱膜前葉とつながり(RK494(**前腹壁の横断面:**腋窩下部)、495(**前腹壁の横断面:**臍部)、496(**前腹壁の横断面:**臍下部) )、腹直筋鞘の前葉形成に寄与する。
腹横筋の下縁は変化に富んでいる。一部の例では鼡径靱帯にまで達するが、他の場合には著しく上方(5cm以内)で終わる。下部の線維は内側鼡径窩を覆う腱性の板に移行する。
**神経支配:**第7~第12肋間神経、腸骨下腹神経、腸骨鼡径神経、および陰部大腿神経による。
**脊髄節との関係:**Th. VII~L I;Eislerによれば Th. (V)VI~L. II
**作用:**この筋の上部は、起始する肋骨を内方に引き、下部単独の作用と同様に腹腔を狭める。
**変異:**この筋が完全に欠如することがある。重複は1例のみ報告されている。通常、下部6本の肋骨から起始するが、しばしば下部5本の肋骨のみから起始する場合もある。腱画が観察されることがあり、内腹斜筋、内肋間筋、胸横筋、横隔膜との連続性も見られる。