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RK535(**右前腕の筋:**掌側面図)

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RK538(右前腕の筋(掌側面))

この筋は2つの頭部を持つ。上腕頭(Caput humerale)は尺側上顆および前腕筋膜から起始し、尺側頭(Caput ulnare)は幅広い腱板を介して肘頭の後面および尺骨の後縁から起始する。

停止部は豆状骨の近位端にあり、その延長として豆鈎靱帯(Lig. pisohamatum)および豆骨中手靱帯(Lig. pisometacarpeum)がある(RK547(手掌の筋と腱(III))RK548(手の骨間筋(IV))、549-550(手の第4指の中手骨と指骨、屈筋の腱を示す))。

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RK547(手掌の筋と腱(III))

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RK548(手の骨間筋(IV))、549-550(手の第4指の中手骨と指骨、屈筋の腱を示す)

腱と豆状骨の間にはしばしば尺側手根屈筋腱嚢(Bursa tendinis m. flexoris carpi ulnaris)と呼ばれる粘液嚢が存在する。上腕頭は尺骨神経溝を橋渡しし、尺骨神経がこの頭部を貫通する。

**神経支配:**尺骨神経

脊髄節との関係: (C7), C8, Th1

**作用:**手の屈曲および尺側への外転

**変異:**主に停止部に見られる。腱が時折、前腕筋膜や手掌腱膜に線維を送ることがある。また、豆状骨を越えて直接第5中手骨に達することもある。稀に見られる短尺側手根屈筋(M. flexor carpi ulnaris brevis)は尺骨から起始し、豆状骨に停止する。(アイヌ人の10体側中2体側に短尺側手根屈筋が観察された[佐野好:福岡医科大学雑誌、24巻、57~59、1931]。)

滑車上肘筋(M. epitrochleoanconaeus)は比較的頻繁に見られる小さな筋で、注目に値する。尺側上顆から起始し、上腕骨の尺骨神経溝を橋渡しして尺骨に達する。尺骨神経支配を受けるため、Gegenbaur によれば上腕三頭筋とは関連が薄いとされる。