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RK558(臀筋の深層)

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RK559(臀筋の深層)

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RK560(寛骨外面における筋の起始と停止部位)

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RK563(寛骨部および大腿の筋)

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RK565(右大腿の筋群(前内側からの図))

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RK566(大腿の筋群(前内側からの図))

この筋は非常に大きく厚い。坐骨結節および坐骨枝の恥骨部から起始し、扇形に広がる。上方の線維は斜めに下外側へ、下方の線維はほぼ垂直に下方へと走行する。大腿骨稜の内側唇の大部分(RK567(大腿骨における筋の起始と停止:)、568(**大腿骨における筋の起始と停止:**後面) )および1本の長い腱をもって大腿骨の内側上顆に停止する。

大腿の中1/3と下1/3の境界付近で、大内転筋の腱に内転筋管裂孔(Hiatus canalis adductorii、Adduktorenschlitz)という裂け目がある(RK559(臀筋の深層), RK566(大腿の筋群(前内側からの図)))。大腿動静脈がこれを通って大腿の後面に達する。この裂孔より上方では、これらの血管が横走する腱線維により被われている。この腱線維は長内転筋および大内転筋から血管群の上を越えて内側広筋に張っており、広筋内転筋板(Lamina vastoadductoria)と呼ばれる。

これらの構造によって形成される管が内転筋管(Canalis adductorius、Adduktorenkanal)である。その下方の出口が内転筋管裂孔であり、上方の入口には特別な名称がない。上方の入口から大腿動静脈と伏在神経が管内に入り、このとき伏在神経は血管の前方に位置する。

この大きな内転筋管裂孔より上方では、大内転筋の腱に2~3個のさらに小さい裂孔がある(RK566(大腿の筋群(前内側からの図)))。これらを貫いて穿通動脈が走行している。

**神経支配:**閉鎖神経、しばしば坐骨神経も分布

**脊髄節との関係:**L3, L4

**作用:**大腿の内転。上部は大腿を屈曲させ、下部は伸展させる。

**変異:**日本人において、小内転筋と大内転筋が癒着し、両者を区分できないものが132体側のうち15体側(11.4%)にあった(松島伯一:実地医家と臨床、4巻、67~69、751、1927)。まれに半膜様筋と連続している。坐骨結節から起始する部分は、この筋の内側部を形成して内側顆にまで達するが、これがその他の部分から完全にあるいは部分的に分離していることがある。