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後頭動脈は外頚動脈の後方から、通常は顔面動脈の対側で分岐する。顎二腹筋の後腹に覆われて上行し、環椎の肋横突起上に達する。そこから外側頭直筋と顎二腹筋の間で側頭骨の後頭動脈溝内を後方に向かう。
この経路で胸鎖乳突筋、板状筋、頭最長筋に覆われる。その後、方向を変えて板状筋の内側縁で僧帽筋の停止部を貫き、後頭部皮膚に密接しながら頭頂に向かって進む。多数の枝を出し、後耳介動脈、浅側頭動脈の枝、および対側の後頭動脈の枝と吻合する。
顎二腹筋後腹、茎突舌骨筋、板状筋、頭最長筋、胸鎖乳突筋に多くの枝を出すほか、以下の枝を分岐する:
a) 乳突枝(R. mastoideus):乳突孔を通って後頭蓋窩の硬膜に分布する。
b) 耳介枝(R. auricularis):耳介の後面に至る。
c) 筋枝(Rr. musculares):項筋に至り、椎骨動脈と深頚動脈の枝と連絡する。特に太い1本の枝が頭板状筋と横突後頭筋の間を走行し、これを下行枝(Ramus descendens)と呼ぶ。
d) 硬膜枝(R. meningicus):この動脈の1終枝から出る細い枝で、頭頂骨の頭頂孔を通って脳硬膜に達する。
**変異:**後頭動脈は時に内頚動脈から分岐することがあり、また鎖骨下動脈の甲状頚動脈から分岐することもある。さらに浅層を走行し、頭最長筋の外側、あるいは胸鎖乳突筋の外側を通ることもまれではない。後者の場合、小枝が通常の位置に存在することが多い。多くの例で環椎の肋横突起の下を走行する。後耳介動脈、上行咽頭動脈、茎乳突孔動脈が後頭動脈の枝となることが多く、特に上行咽頭動脈の分岐はヨーロッパ人で13.9%、日本人で23.6%の頻度で見られるという(Adachi)。
[図639]体幹上半の動脈(I):浅層の諸枝(1/2)
[図640]体幹上半の動脈(II):深層の諸枝(1/2)