[図465]橋の横断面III
(高さについては図459(延髄、橋、および中脳の各横断面の位置を示す図)を参照)。
三叉神経の根線維が見える。有髄神経線維は黒く、神経細胞は赤く表示されている。
次の断面では橋底部がこれまでよりもかなり大きくなり、それに対して橋背部はその大きさを減じている。橋底部内では橋縦束がより高度に分散し、その占める領域が拡大している。橋背部では脳室底の表面にある灰白質内に、依然として内側隆起核Nucleus eminentiae medialisが、また側方には前庭神経背側核Nucleus terminalis dorsalis n. vestibuliが見られる。正中線の近くでその側方には三角形を示す内側縦束Tractus longitudinalis medialisの領域があり、その腹方には被蓋網様核Nucleus reticularis tegmentiがある。さらに腹方には内側毛帯Lemniscus medialisがあるが、これはすでに正中線からやや離れている。台形体の線維は内側毛帯を貫いて横方向に走る。後脳オリーブ核Nucleus olivaris metencephaliと台形体核の上端が前と変わらない位置に見られ、ちょうどその部位には外側毛帯Lemniscus lateralis, laterale Schleifeの横断された線維が集まっており、これは聴覚伝導路の三次ニューロンとして上方へ進む。
三叉神経の根線維は、右側では大きな広がりをもって断面上に現れている。内側にはこの神経の運動性線維と運動性核、すなわち三叉神経起始核Nucleus originis n. trigeminiがあり、外側にはその知覚性線維と知覚性核、すなわち三叉神経終止核Nucleus terminalis n. trigeminiがある。ここから縫線に向かう斜断された線維、つまり三叉神経交叉線維Fibrae cruciantes n. trigeminiは三叉神経の二次伝導路に属している。