[図463] 橋の横断面I
(高さについては図459(延髄、橋、および中脳の各横断面の位置を示す図)を参照)
オリーブ核(Nucleus olivae)の上端の高さ、外転神経核、顔面神経核、内耳神経核を示す。
この断面は橋のすぐ近くで延髄の腹側面を切っており、側方ではすでに橋腕が現れている。索状体の(内側部の)線維が背方に曲がり、次いで縦断されて斜めに背方かつ外側に走っているのが観察される。
この部分は核小脳路Tractus nucleocerebellaresと小脳前庭[核]路Tractus cerebellonuclearesである。前者は三叉神経・前庭神経・舌咽神経・迷走神経の終止核から出て室頂核と小脳虫部に達し、後者は小脳皮質から出て室頂核を経て前庭神経外側核に達する。索状体の外側部に含まれる線維については452頁を参照されたい。
索状体の腹方には内耳神経の線維と蝸牛神経腹側核Nucleus terminalis ventralis n. cochleaeが見られる。特に前庭神経の走行が明瞭で、その線維は索状体と三叉神経脊髄路の間を背方に進み、そこにある終止核に達する。ここには大細胞性の前庭神経外側核Nucleus terminalis lateralis n. vestibuli(ダイテルス核Deitersscher Kern)があり、さらにその内側には前庭神経内側核、背方には前庭神経背側核Nucleus terminalis dorsalis n. vestibuli(ベヒテレフ核Bechterewscher Kern)がある。
三叉神経脊髄路の内側に大細胞性の大きな核が現れる。これが顔面神経核Nucleus originis nervi facialisである。その細胞の神経突起(以前はPars prima radicis nervi facialisと呼ばれた)は斜め内側背方に菱形窩正中溝の方向に走る。
この線維群のその後の走行については423頁を参照されたい。脳室の底のすぐ下には外転神経核Nucleus originis n. abducentisがある。白網様質Substantia reticularis albaはその中央部にかなり多量の灰白質と多数の神経細胞を有している。この神経細胞は被蓋網様核Nucleus reticularis tegmentiであり、その神経突起は網様体脊髄路(320頁参照)を形成する。この核によって内側縦束Tractus longitudinalis medialisと内側絨体Lemniscus medialisとが互いに隔てられている。オリーブ核Nucleus olivaeはこの付近にその上端がある。両側の錐体は強く腹方に突出し、前外弓状線維と弓状核とに囲まれている。