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目次(IV. 内臓学)

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図082(頭部顔面の矢状断(上方3個の頚椎を含む))

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図084(顔面頭蓋、咽頭、喉頭の正中面やや外側での矢状断)

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図087(咽頭腔)

咽頭の粘膜は淡い赤色を呈し、上部では比較的厚く、多数の上皮性および結合組織性の腺を有する。上皮性のものは咽頭腺Glandulae pharyngicaeと呼ばれる。結合組織性の腺は、小胞腺の集合体、単なるリンパ小節の集合、あるいはより単純なリンパ性組織の集合として存在する。これらの集合体の一つが卵円形の軟板として咽頭円蓋に見られ、咽頭扁桃Tonsilla pharyngica, Rachenmandelと呼ばれる(図084(顔面頭蓋、咽頭、喉頭の正中面やや外側での矢状断))。その側方への延長が咽頭陥凹の壁で耳管の後方に位置する。これらの部位には粘液腺も存在する。咽頭扁桃の領域では、粘膜が口蓋扁桃と同様にひだを形成して陥入し、その凹みを扁桃小窩Fossulae tonsillaresという(図087(咽頭腔))。変異として、円蓋の正中部に単一の嚢状構造が見られることがあり、これを咽頭嚢Bursa pharyngicaという(図083(咽頭円蓋咽頭嚢))。

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図083(咽頭円蓋咽頭嚢)

咽頭鼻部Pars nasalis pharyngisの上皮は線毛を持つ多列円柱上皮であるが、その他の咽頭部位は重層扁平上皮で覆われている。

咽頭粘膜の神経支配は、鼻部では三叉神経の第2枝、口部Pars oralisでは舌咽神経、喉頭部Pars laryngicaでは迷走神経の上喉頭神経による。

咽頭粘膜の血管は、咽頭に分布する比較的太い血管の分枝である。咽頭粘膜のリンパ管については脈管系の項を参照されたい。

蝶形骨体の外面に接し、頭蓋咽頭管Canalis craniopharyngicusの外側開口部付近に、頭蓋底の強靱な線維性構造物に包まれた小腺がある。この腺は構造上、下垂体前葉に相当する。Civalleriによれば、これは恒常的に存在するという。この腺は咽頭下垂体Hypophysis pharyngica, Raehendachhypophyseと呼ばれる。成人では幅約5〜6mm、厚さ0.5〜1mm、胎児では幅3mm、新生児では幅4mmである。顕微鏡的には、上皮細胞索から成り、コロイド物質で満たされた少数の腺管と若干の色素好性細胞を有する。この器官の大きさ、形態、位置、およびその細胞の量と発達度には著しい個体差がある。