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目次(IV. 内臓学)

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(図262(男性の骨盤内臓器)図266(男性骨盤の正中断面)図267(男性の膀胱の内面(強度収縮時)と尿道)図270(男性の膀胱、尿管、精嚢、前立腺、尿道:後方からの図)図319(精丘を通る横断図)図320(ヒトの前立腺を通る断面図)図321(前立腺の腺体) )

前立腺は食用栗に似た固い腺で、その大きさは日本人成人の平均で長さ2.72cm、幅3.93cm、厚さ1.71cm、重さ14.74gである(斎藤幹、日医大誌5巻、昭和8年)。その上方には膀胱から尿道への移行部があり、内部に尿道の初部を含んでいる。尿道の前立腺部Pars prostatica urethraeに加え、前立腺には形態学的に重要な前立腺小室Utriculus prostaticusがある。これは女性の腟と相同である。さらに、多数の前立腺腺Glandulae prostaticae、多量の平滑筋、少量の横紋筋、そして射精管の終末部も含まれている。

**局所解剖:**前立腺は骨盤下部の骨盤筋膜前部と内尿生殖隔膜筋膜の間に位置する。側方は左右の肛門挙筋内側縁に境界され、恥骨結合から1.0~1.5cm離れている。恥骨前立腺靱帯が前立腺前面を恥骨後面に固定し、前立腺側面は凸状に突出している(図262(男性の骨盤内臓器)図270(男性の膀胱、尿管、精嚢、前立腺、尿道:後方からの図))。

前立腺の縦径は3.2~4.2cm、幅は3.5~5cm、最大厚さは1.7~2.3cm、重量は17~28gである。

前立腺の底部は膀胱面Facies vesicalisと呼ばれ、膀胱と結合している。尖端は尿生殖隔膜に向かい、前面の恥骨面Facies pubicaは恥骨結合に面している。後面直腸面Facies rectalis)は直腸に向かい、結合組織と平滑筋束で直腸前壁と結合しており、直腸内から触診可能である(図266(男性骨盤の正中断面))。

前立腺は左右の外側部Partes laterales(Seitenlappen)で構成され、後方の前立腺峡Isthmus prostatae(中葉Lobus medius)と前方の尿道前部Pars praeurethralis prostataeでつながっている。外観上、前面の浅い溝で左右に分かれている。峡(中葉)は通常、独立した葉というより結合部として存在する。射精管は峡の後方から精丘に向かって進む。詳細は241頁と図320(ヒトの前立腺を通る断面図)を参照。尿道前部は尿道の前立腺部前方にあり、しばしば前立腺外側部に覆われている。

前立腺の内部にある諸構造 Strukturen im Inneren der Prostata