(RK542(前腕の深層の伸筋)、543(前腕の伸筋) 、RK544(手背における筋と腱) )
この紡錘形の筋は橈側上顆から起始し、短橈側手根伸筋と癒合している。一部は前腕筋膜からも起始する。筋腹から4本の腱が発生し、一束となって背側手根靱帯の下の第4管を通過する。その後、腱は分かれて第2〜第5指に達し、指背腱膜となり、中節骨および末節骨の底に停止する。
第5指への腱が欠如することがあり、その場合は第4指への伸筋腱から出る腱束が代替となる。同様の腱連結(Juncturae tendinum)が第4指と第3指の腱、さらに第3指と第2指(示指)の腱を連結する。最後の連結が最も稀である。これらの腱連結により、各指の独立した伸展が制限される(RK544(手背における筋と腱) )。
哺乳類では、伸筋腱の広がり方の単一性が人類よりもさらに顕著である。
**神経支配:**橈骨神経
**脊髄節との関係:**C6, C7, C8
**作用:**第2〜第5指および手全体の伸展
**変異:**前述の腱の変異に加え、母指に至る過剰腱が存在することがある。日本人における総指伸筋の第4腱の欠如は、男性で8.2%(208体側中17体側)、女性で16.1%(93体側中15体側)である[小金井良精・新井春次郎・敷波重次郎:東京医学会雑誌、17巻、127〜131、1903]。
総指伸筋が4つの独立した筋腹に分かれているケースも複数報告されている。