この筋膜は皮下に露出している下腿骨の表面および骨稜と強固に結合し、伸筋群の起始とも密接に連結している。前脛骨筋と長指伸筋の間には線維性の中隔である前下腿筋間中隔(Septum intermusculare cruris anterius)が深部に入り込み、もう1つの中隔である後下腿筋間中隔(Septum intermusculare cruris posterius)は長指伸筋と長腓骨筋の間に位置する。両中隔は近接する筋群にその起始面を提供している。
下腿三頭筋とさらに深層の筋群との間には下腿筋膜の深葉(tiefes Blatt der Fascia cruris)が広がり、これは側方でその浅葉と連続している。
伸側の筋膜は脛骨、腓骨両踝の上方で幅2〜3横指の範囲で肥厚しており、この部分が下腿横靱帯(Lig. transversum cruris)と呼ばれる(RK573(下腿および足の筋(側方から見た図)) 、RK574(下腿および足の伸筋群)、575(下腿の筋群) 、RK581(足背における筋と腱)、RK582(足背の筋と腱) 、RK592(大腿の筋膜)、593(下腿および足背の筋膜) )。
下腿横靱帯より遠位では、足に至る十字靱帯(Lig. cruciforme)が続く。その線維束は脛骨、腓骨両踝から出て交差し、足の内側、外側両縁に達する。しかし、その近位の外側脚が発達不良か、あまり顕著でないため、しばしばこの靱帯がY字形を呈することがある(RK573(下腿および足の筋(側方から見た図)) 、RK574(下腿および足の伸筋群)、575(下腿の筋群) 、RK581(足背における筋と腱) 、RK592(大腿の筋膜)、593(下腿および足背の筋膜) 、RK596(足背における腱鞘) 、RK597(**足における腱鞘:**外側面)、RK598(**足における腱鞘:**内側面))。
十字靱帯に覆われて、3つの長い伸筋の腱がそれぞれの腱鞘に包まれて足背に達している。
破裂靱帯(Lig. laciniatum)が脛骨踝から踵骨に広がり、後脛骨筋および長指屈筋の腱を被っている(RK574(下腿および足の伸筋群)、575(下腿の筋群) 、RK598(**足における腱鞘:**内側面) )。
外側面には腓骨筋支帯(Retinacula tendinum mm. fibularium)がある。上腓骨筋支帯(Retinaculum tendinum mm. fibularium proximale)(RK573(下腿および足の筋(側方から見た図)) 、RK597(**足における腱鞘:**外側面) )は腓骨踝から踵骨に張り、長短両腓骨筋の腱を強固に保持している。下腓骨筋支帯(Retinaculum tendinum mm. fibularium distale)は隔壁によって長短それぞれの腓骨筋のための2つの管に分かれ、踵骨の外側面に始まり終わっている(RK460(足関節:外側からの図) 、RK573(下腿および足の筋(側方から見た図)) 、RK597(**足における腱鞘:**外側面))。
腱が通過する場所はすべて滑液鞘で内張りされている(RK596(足背における腱鞘)、RK597(**足における腱鞘:**外側面)、RK598(**足における腱鞘:**内側面) )。
足背には(RK596(足背における腱鞘) )3つの腱鞘がある(日本人における足の腱鞘および滑液包については、吉野佐次(東京医学会雑誌、52巻、881〜924、1938)の詳細な報告がある)。すなわち前脛骨筋の腱を包むもの、長母指伸筋の腱を包むもの、長指伸筋の腱を包むものである。これらの腱鞘は十字靱帯のやや近位から始まり、それぞれ第1楔状骨まで、第1中足骨底まで、踵骨と立方骨間の関節にまで達している。
破裂靱帯の下を通る3つの深層屈筋の腱(RK598(**足における腱鞘:**内側面) )はそれぞれ別個の腱鞘を有している。まれに長母指屈筋の腱鞘と長指屈筋のそれとが連結している。これらの腱鞘は脛骨踝後方で破裂靱帯よりやや近位で始まる。後脛骨筋の腱鞘は舟状骨粗面には達しないが、他の2つの屈筋の腱鞘は足底で両腱が交差する部位よりわずかに遠位まで延びている。
長短両腓骨筋(Mm. fibulares)(RK597(**足における腱鞘:**外側面) )は1つの共通腱鞘を有し、これは腓骨踝後方で始まり、支帯の下では各腱にそれぞれ1つの独立した管が形成される。短腓骨筋の腱鞘は下腓骨筋支帯を越えて遠位方向にはあまり延長しない。長腓骨筋の腱鞘は立方骨の長腓骨筋腱溝にまで達する。足底ではその末端部が1つの特殊な腱鞘を有している。