RK246(骨口蓋・切歯縫合・上歯列の咀嚼面)RK247(骨口蓋・切歯縫合・歯槽)RK248(**骨口蓋・切歯骨・乳歯・永久歯:**2歳児の頭蓋)RK272(頭蓋の正中矢状断面)RK275(頭蓋底の外面)

骨性口蓋は、左右の上顎骨の口蓋突起と口蓋骨の口蓋板によって構成される。これら4部分の接合部が、矢状方向に走る正中口蓋縫合Sutura palatina medianaと、横方向に走る横口蓋縫合Sutura palatina transversaを形成する。若年者の骨では切歯縫合Sutura incisivaが完全または痕跡的に残存している(図246248参照)。正中口蓋縫合の前部には切歯管Canalis incisivusが開口している。口蓋後部の外側には、口蓋骨と上顎骨の間に大口蓋孔Foramen palatinum majusがあり、口蓋骨の錐体突起内に小口蓋孔Foramina palatina minoraが存在する。

上顎骨の口蓋突起の口蓋面は凹凸があり、大小多数の窪みや孔が見られる。一方、口蓋骨の口蓋板は多くの場合平滑である。大口蓋孔から前方に向かって2~3本の口蓋稜Cristae palatinaeが走り、これにより口蓋溝Sulci palatiniが形成される。この溝は骨質の架橋により部分的に管状構造となることがある。溝内には大口蓋神経の枝と同名の動脈枝が走行する。骨口蓋の前方と側方は上顎骨の歯槽突起により縁取られ、後方には後鼻棘Spina nasalis posteriorが突出している。

口蓋の横方向の湾曲とその高さは極めて多様で、歯列および歯槽突起の形成状態と密接な関係がある。

正中線上を縦走する隆起線は、その程度に差があるものの、かなりの長さ、幅、高さを持ち、口蓋隆起Torus palatinus(v. Kupffer)と呼ばれる。Stiedaによれば、その出現頻度は民族によって異なり、ペルー人とアイヌに最も頻繁に見られ、黒人種では最も稀である。W. Waldeyerはラップランド人の頭蓋でほぼ常に口蓋隆起を観察し、R. Weinbergによればリヴォニア人でも頻繁に認められるという。(赤堀英三(Jap. Journ. med. Science, Anatomy, Vol. 4, P. 62~318)は日本人頭蓋において口蓋隆起を男女合わせて355例中153例(43%)に認めている。)