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図552(**右下肢の皮神経分布領域:**後面)、553(**右下肢の皮神経分布領域:**前面)
陰部大腿神経は、第1腰神経係蹄およびL IIから2根をもって発生し、大腰筋の中またはその外側で2つの終枝に分かれる。これらの終枝が腰神経叢から別々に発生することもある。
a) 陰部枝(R. genitalis)はL Iに由来する陰部大腿神経の線維からなる。大腰筋の内側縁付近を下行し、外腸骨動脈に1枝を与え、外腸骨動静脈と交差する。その後、腹膜下鼡径輪の内側で曲がり、鼡径管の後壁を上行する。ここで陰部枝は精索(または子宮円索)の内側面に達し、これとともに鼡径管を通過して陰嚢に入る。この神経は挙睾筋と肉様膜に分布し、精巣動脈周囲の交感神経叢とも結合する。鼡径管を出た後は、腸骨鼡径神経の小枝と吻合する。
b) 大腿枝(R. femoralis)はL IIに由来し、陰部枝の外側で大腰筋の前面を下方に走る。大腿動静脈の外側、鼡径靱帯より下方で大腿前面の皮膚に達する。一部の枝は卵円窩を通過するが、他の枝はその外側を通る。最も遠位に達する枝は、時に大腿中央部まで追跡できる。
陰部大腿神経の変異(Rugeによる): a) 独立した神経として存在しない場合があり、その際は陰部枝が腸骨鼡径神経の一枝となり、大腿枝は大腿神経の前枝の一つとなる。 b) 大腿枝が大骨盤内で腓側大腿皮神経から分岐し、独立して鼡径靱帯より下方の皮膚に達することがある。 c) 大腿枝が大腿神経の一枝となることがある。
[図554] 右大腿における大腿神経と閉鎖神経(I)(3/8倍)
縫工筋は中央部を切除してある。