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目次(IV. 内臓学)

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深会陰横筋は内面が内尿生殖隔膜筋膜Fascia diaphragmatis urogenitalis internaで覆われ、外面は外尿生殖隔膜筋膜Fascia diaphragmatis urogenitalis externaで覆われている。これら2枚の筋膜葉は、覆っている筋とともに尿生殖隔膜Diaphragma urogenitaleを形成する。この隔膜は尿道の隔膜部Pars diaphragmatica urethrae(女性ではさらに腟)によって貫かれ、また1対の小腺である尿道球腺Glandulae bulbourethralesを包含している(図262(男性の骨盤内臓器)図335(男性の会陰と骨盤出口の筋 III))。

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図262(男性の骨盤内臓器)

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図333(男性の会陰と骨盤出口の筋II)

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図335(男性の会陰と骨盤出口の筋 III)

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図340(男性骨盤の前方部の前額断面図)、341(すべての被覆物を除去した外骨盤隔膜筋膜の様子)

深会陰横筋の前縁と後縁で尿生殖隔膜筋膜の内外両葉が癒合している。前縁では特に強固に結合し、尿道前靱帯Lig. praeurethraleと呼ばれる。

骨盤の前方部を通る前頭断面図340(男性骨盤の前方部の前額断面図)、341(すべての被覆物を除去した外骨盤隔膜筋膜の様子))で、2つの筋膜が明確に観察できる(1, 2)。深会陰横筋(8)はこれら2つの間に包まれている。内尿生殖隔膜筋膜の上には中央部に前立腺(12)があり、側方には肛門挙筋(7)の前方部が位置している。この筋はさらに内骨盤隔膜筋膜(3)で覆われている。内骨盤隔膜筋膜は前立腺の側面に広がり、内尿生殖隔膜筋膜とも融合している。外尿生殖隔膜筋膜の大部分は陰茎海綿体と尿道海綿体、およびこれらを包む坐骨海綿体筋(9)と球海綿体筋(10)によって覆われている(図333(男性の会陰と骨盤出口の筋II))。

前述の3つの海綿体とそれに付随する筋を取り除くと、外尿生殖隔膜筋膜の全体的な表面像が観察できる(図340(男性骨盤の前方部の前額断面図)、341(すべての被覆物を除去した外骨盤隔膜筋膜の様子))。中央部の卵円形の領域(4)は尿道海綿体球がこの筋膜に付着する部位に相当する。3は尿道の位置を示す。前部には多くの場合、強い横走束の形をした尿道前靱帯Lig. praeurethraleが存在する。この靱帯と恥骨弓状靱帯の間には隙間があり、ここを通って筋膜下陰茎背静脈が骨盤に入り、膀胱陰部静脈叢に達する(図262(男性の骨盤内臓器)図335(男性の会陰と骨盤出口の筋 III))。

一方、海綿体と会陰のすべての筋がほぼ自然な長さで存在する状態を図333(男性の会陰と骨盤出口の筋II)が示している。

この図では外尿生殖隔膜筋膜は左右ともわずかしか見えない。これは尿道海綿体球と球海綿体筋、陰茎海綿体と坐骨海綿体筋、および浅会陰横筋が空間を占めているためである。

球海綿体筋と坐骨海綿体筋もそれぞれ薄い筋膜で覆われており、これを浅会陰筋膜Fascia perinei superficialisという(図332(男性の会陰と骨盤出口の筋 I))。この筋膜は陰茎根を構成する3つの部分を外側から覆い、これらの間にある溝を管状にしている。この管内には会陰神経と会陰動脈、およびそれらの枝が走行している。

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[図340]男性骨盤の前方部の前額断面図:片側

1 外尿生殖隔膜筋膜;2 内尿生殖隔膜筋膜;3 内骨盤隔膜筋膜;4 外骨盤隔膜筋膜;5 閉鎖膜;6 内閉鎖筋;7肛門挙筋;8 深会陰横筋;9 坐骨海綿体筋と陰茎脚;10球海綿体筋と尿道海綿 体球;11 膀胱;12 前立腺;J 坐骨枝の恥骨部。その右側には陰茎背神経、陰部静脈、陰茎動脈が位置している。

[図341]すべての被覆物を除去した外骨盤隔膜筋膜の様子

3 尿道;4 海綿体球の付着する面。

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[図342]男性骨盤の出口(外側からの視点)

尿生殖隔膜は、尿道の隔膜部とともに除去されている。外面の筋膜を取り除いたため、骨盤隔膜が露出している。

1 仙尾骨;2 仙棘靱帯;3 坐骨結節;4 恥骨結合;5 内閉鎖筋;6 内閉鎖筋膜;7 肛門尾骨中隔;8 尾骨筋;9 肛門挙筋;10外肛門括約筋;11肛門裂;粘膜によって囲まれている;12 両側の肛門挙筋の間にある正中部の隙間、すなわち"挙筋門Levatortor"。この隙間には前立腺の尖端が尿道の隔膜部(これは取り除いてある)に移行する部分が見える。