https://funatoya.com/funatoka/Rauber-Kopsch.html

片山正輝

目次(II. 筋系)筋系の図譜

funalogo.gif


511.png

RK511(頚筋膜)

512.png

RK512(頚筋膜)

深頚筋膜は頭蓋底から深頚筋の前を下方に伸びている。この過程で筋の間を通り脊椎に付着し、頚長筋とともに胸腔に達して胸内筋膜と連続する。また、斜角筋群とともに胸郭の外面に至り、腕神経叢と鎖骨下動脈を覆う。この筋膜は前斜角筋から鎖骨の後面に延び、さらに薄い線維となって胸膜頂の結合組織中に広がる(Eisler)。深頚筋膜は側方で頚部の脈管束および縦走神経の背方を外側に走るが、中頚筋膜はその外側面に沿って通る。その後、深頚筋に向かって背方に進み、前述のように他の両筋膜と結合する。

この筋膜が脈管束の後ろに達する前に、縦中隔Septum longitudinaleという線維性の一葉が発生し、脈管束より内側の中頚筋膜に送られる。そのため、頚部の大血管と縦走神経束は3つの筋膜板の間に閉じ込められており、別個の血管鞘は存在しないとされる。

浅頚筋膜および中頚筋膜の内側部と深頚筋膜との間にあり、側方は縦中隔により閉じられている空間が臓腔Eingeweideraumである。ここには咽頭、食道、喉頭、気管、甲状腺といった頚部の諸内臓が存在する。咽頭と食道の結合組織性被膜と深頚筋膜との結合は、咽頭後結合組織retropharyngeales Bindegewebeという疎性結合組織によってなされ、この組織は下方へ胸腔内に続く。深頚筋膜とそれに覆われる骨および筋との間には、疎性結合組織で満たされた隙間、すなわち椎前隙Spatium praevertebraleが存在する。