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目次(I.骨格系)

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単細胞生物界にも、すでに多様で驚くほど丈夫な体の支持機構が見られる。生物の体が大きくなるほど、軟らかい部分を十分に支える必要性が増す。体の各部分のつながりを強化し、軟らかい構造に支えを与え、筋肉に固い付着面を提供し、単一および複合のテコを形成し、保護器官や武器、道具としての器官を持つこと——動植物界を問わず、硬い器官はこうした目的のために発達してきた。水生動物にも硬い器官は広く分布しているが、陸上や空中に住む動物に比べると、その存在を維持するための硬い器官をそれほど必要としない。

硬い器官に利用される素材は非常に多岐にわたる。中でも重要なものは、セルロース形成、木質化、珪酸化、石灰化、キチン形成、角質形成、そして軟骨および骨の形成である。生物体の硬い器官への要求は、単一の素材だけでは満たされず、また必要とされる各硬い器官が単一の素材で造られるわけでもない。

硬い器官の形状、大きさ、機能、ひいてはそれによって支えられる生物の体全体に対する素材の影響は極めて大きい。これは例えば、成人や新生児の大腿骨が仮に軟骨だけでできていると想像すれば、容易に理解できる。この軟骨はもちろん立派な硬い器官を形成するが、ここにできる大腿骨は全く趣を異にしたものになるだろう。実際には、大腿骨体の骨核はすでに胎生第7週で出現し、骨が軟骨を取り囲み、軟骨という素材が機能上適している部分だけにそれを残しながら、徐々にこれに取って代わっていくのである。

軟骨は骨とは全く異なる弾性と剛性を示す。陸上動物は純粋な軟骨だけでは生活できない。そのため、この観点からも骨の形態の問題に特別な光が当てられる。骨格という素材の弾性と剛性について研究することは、形態学の上で非常に興味深いテーマなのである。

われわれの知るすべての物体は、張力と圧力の作用下で分子相互のずれにより一定の**変形(ひずみ)**Formveränderungを起こす。このとき物体が形状変化を防ごうとして示す抵抗の大きさは、周知のように物体ごとに異なる。外力の作用が一定範囲内にとどまる場合、その作用が止んだとき、一般に物体の各点は元の相互位置関係を取り戻す。

張力や圧力の作用による変形を、その力が作用しなくなったとき完全に可逆的に元に戻す物体の能力を弾性Elastizitätという。また、これが可能である限界を弾性限界Elastizitätsgrenzeという。弾性限界は物体によって大きく異なる。

物体が弾性限界を超えた作用を受けるときは、その作用の程度に応じて異なる反応が見られる。作用が十分に大きいときは物体の破壊が起こる。また、作用が弾性限界をわずかに超過するだけですぐに止むときは、物体はもはや完全に元の形に戻らず、余効すなわち残留効果が残る。実験によると、完全な弾性状態は、厳密な意味では、いかなる物体にも存在しない。あらゆる物体において、どんな小さな変形の後にも、わずかな余効が残る。言い換えれば、あらゆる変形は一時的な弾性部分と、持続的な永久部分とからなるといえる。しかし、実用上の弾性限界内では、形状変化の永久部分は弾性部分に比べて極めて小さく、無視できる。感覚器や神経系の働きについて物理学の諸原理が多くの問題を提供するが、骨格素材についても同様である。ただし、この領域では物質代謝がある程度それを調整する力を持っているだろう。

剛性Festigkeitとは、物体が張力や圧力によって破壊されようとするとき、これに対して示す抵抗のことである。

単純な張力と圧力に対する弾性および剛性のほかに、物体に及ぶ作用の型によって、いくつかの亜型が区別される。これらもやはり張力と圧力に帰せられる。例えば、撓みの弾性および剛性Biegungs-Elastizität und -Festigkeitは、一端または両端を支えられた物体の長軸に垂直に働く力(撓みの力)に対する抵抗である。張力および重圧に対する剛性Streb- und Zerknickungsfestigkeitは、柱のように立てられた長い物体が長軸方向に働く負荷に対して示す抵抗である。剪断の剛性Abscherungsfestigkeitは、物体の長軸に垂直に支持台の線に密に押し付けながら働く「剪断力」に対する抵抗である。また、側方への力が長軸のまわりに働いて物体をねじり切ろうとするとき、物体はねじれの剛性Torsionsfestigkeitを示す。

これらの値を比較するには、係数(率)という単一の基準で扱う必要がある。

弾性率Elastizitätsmodulは、単位横断面積を持つ物体を弾性限界内でその長さだけ引き伸ばし(このような変形が可能と仮定して)、また短縮させるときの重さで表される。一方、剛性率Modul der Festigkeitは、単位横断面積の物体を破壊できる力である。

骨を他の建築素材と比較するため、建築分野で最もよく用いられる材質の弾性率と剛性率を次のページに示す。数値は各係数をキログラムで表し、1平方ミリメートルの横断面積に対するものである。

この表から次のことがわかる。骨質では張力に対する剛性率Zugfestigkeitの方が圧力に対する剛性率Druckfestigkeitよりも小さい。骨の張力剛性率は最大で真鍮や鋳鉄に匹敵し、圧力剛性率は鍛鉄に近い。さらに、骨の弾性率は真鍮や青銅の3倍にも達する。また、骨の圧力剛性率は石灰石の4~5倍、片麻岩および花崗岩の2~3倍の値を示す。

骨の諸数値をオセインOsseinと比較すると、骨の優れた性質に対する鉱物性成分の重要性が明らかになる。

軟骨の剛性率はオセインよりさらに小さい。特筆すべきは、その小さい張力剛性率と、それに比べて顕著な圧力剛性率の差である。後者は前者の9倍にも達する。これにより、軟骨は大きな張力を要する場所や長い支柱としては不適切だと理解できる。しかし、短い部分で大きな圧力に耐える必要がある場所、例えば関節軟骨などには極めて適している。関節軟骨は適切な緩衝材と滑らかな滑動面という二つの役割を果たさねばならないのだ。(Heidsieck(Anat. Anz., 78. Bd., 1934)は自動車の「布入りタイヤ」の構造を用いて、興味深い軟骨の説明モデルを考案した。以前は(Benninghoffによって)モデル説明に鉄筋コンクリートが用いられていた。(原著註))

弾性率 剛性率
材質 張力に対して 圧力に対して 張力に対して 圧力に対して
鋳鉄 10000 9900 13 73
鍛鉄 19700 19700 40.9 22
精製した鋳鋼 29200 11000 102
真鍮 6400 12.4 110
青銅・砲金 6900 25.6
ブナ・オーク・トウヒ・マツ・モミの材(線維方向) 1100 6.5 4.8
同上(年輪に対して放射方向) 130 0.4
片麻岩・花崗岩 5.9
石灰岩 3.6
砂岩 2.9
煉瓦 0.6
モルタル 0.37
弱い麻縄 6.1
強い麻縄 4.8
革紐(牛革) 7.3 2.9
軟骨(肋軟骨) 0.875 0.17* 1.57
骨緻密質(長軸方向) 1800~2500 9.25~12.41 12.56~16.80
骨(直径方向) 4.8 8.0
オセイン(長軸方向) 3.888 1.51 2.72

*Benninghoff(Ergeb. Anat. Entw., 26. Bd., 1925)は気管軟骨から弓状の軟骨の長軸に沿って一部を切り出し、その張力に対する剛性率を1.22kgと決定した。これは表記の数字の7倍に当たる。(原著註)