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骨半規管はC字形に湾曲した3つの骨性管で、管の形は円柱を湾曲面に垂直の方向から圧平した形である。前庭から出て再び前庭に開いており、管の長さは不同だが内腔の太さはほぼ同じで、楕円形の横断面の短径は0.8~1.0 mm、長径は1.2~1.7mmの範囲内にある。管の内腔はその中にある膜迷路の管よりもかなり太く形成されている(図706(成人の上半規管中央部の横断面) )。3つの半規管はいずれも全円周のほぼ2/3に相当する弧を描いている。各管の両脚のうち膨大部脚Crus ampullareと呼ばれる方には骨膨大部Ampulla osseaという著しく拡大した部分がある。膨大部脚の開口は3つあるが、膨大部をもたない方の脚の開口は2つである。ただし、膨大部をもたない脚の開口も、わずかな膨らみを示している。
三つの半規管はたがいにほぼ垂直をなす3つの平面上に位置している。
上骨半規管Canalis semicircularis superior(前骨半規管Canalis semicircularis anterior(Anterior semicircular canal))は他の迷路のどの部分よりも上方に突出しており、側頭骨錐体部の上面に弓状隆起Eminentia arcuataという隆起を形成している。その膨大部は上骨膨大部Ampulla ossea superior(前骨膨大部Ampulla ossea anterior(Anterior bony ampulla))と呼ばれ、外側半規管の膨大部の近くで前庭の上部に開口する。上半規管の単脚Crus simplexは後半規管の単脚と合して共通の総脚Crus communeとなり、それが前庭の後部でその内側壁に開口している。上半規管の長さは凸側縁で測って18~20mmである。
後骨半規管Canalis semicircularis posteriorは22mmあり、3つの管のうち最も長い。その膨大部は後骨膨大部Ampulla ossea posteriorと呼ばれ、前庭の下後壁に接している。後半規管の単脚は上半規管の単脚と合流して総脚となる。
外側骨半規管Canalis semicircularis lateralisは14~15mmで最も短い。2つの開口部をもって前庭の上部と後部に開いている。その膨大部は外側[骨]膨大部Ampulla ossea lateralisと呼ばれ、上膨大部のすぐそばにあり、前庭窓の上でやや前外方に位置している。単脚は総脚と後膨大部との間で前庭に合する。