(1) 頭頂孔
頭頂孔は頭頂骨の上縁の後方近くに位置し、小さな頭頂導出静脈が通ります。これは頭皮から上矢状静脈洞への頭頂導出静脈が通る部分で、その大きさは個々によります。頭頂導出静脈が通る孔の数と位置は人によって大幅に異なります。
413の頭蓋骨のうち、左右1つずつの孔が最も多く49.4%、左右ともに0個が17.2%、右だけ1つが15.3%、左だけ1つが9.4%、正中に1つが3.1%でした。さらに、右1つ左2つ、右2つ左1つ、右2つ左0つがそれぞれ1.2%、右2つ左2つ、左右と正中に1つずつがそれぞれ0.5%、その他が1.0%でした。また、1つの頭蓋骨には最大で4つの孔が存在します。また、左右対称的に存在する個体は53.5%、非対称は29.3%、欠如は17.2%でした(赤堀、1933)。
(2)クリブラ・クラニイCribra cranii (頭蓋篩)
篩い目状の骨病変は主に頭頂結節付近に好発し、これをクリプラ・クラニイと呼びます。前頭骨の眼窩上壁に現れるクリプラ・オルビタリアと同様に、骨髄板間層の代償性過形成が原因とされ、これは貧血(特に鉄欠乏性)の状態に関連しています。
頭頂結節付近には、「parietal stellate radiation」と呼ばれる放射状に発達する板間静脈叢があり、これが本症の好発部位と関連していると考えられます(平田、1995)。
日本人では、成人の頭蓋191個中18個(9.4%)、小児の頭蓋48個中12個(25.0%)に見られるという報告があります(Koganei, 1911/1912)。また、頭頂骨以外では後頭骨や前頭鱗などにも現れるとされています(Hirata, 1987)。