骨盤は、腹腔の底と骨盤腔を形成し、内臓を保護し、体幹と上肢の重みを支え、またこれを両側の下肢に分散させる骨格です。骨間の連結は固く、可動性は非常に制限されています。左右の寛骨と仙骨、尾骨が一体となって強固な骨盤を形成します。また、恥骨の前下端は線維軟骨によって連絡しています。
一般に、ヤコビーJacoby線は、左右の腸骨稜の最高点を結ぶ線で、第4腰椎棘突起のレベルに存在するとされています。平田の調査では、このレベルを棘突起の上縁、中点、下縁および棘突起間に区分しました。その結果は表5に示しています。さらに、骨盤計測法は図33-38で、計測値は表6でまとめていますので、参照してください。
表5 ヤコビー線のレベル
| 腰椎棘突起高 | 男性(%) | 女性(%) |
|---|---|---|
| L3棘突起の中点 | 0 | 1(2.9) |
| L3とL4棘突起の中間 | 4(5.7) | 2(5.9) |
| L4棘突起の上縁 | 15(21.4) | 5(14.7) |
| L4棘突起の中点 | 23(32.9) | 10(29.4) |
| L4棘突起の下縁 | 16(22.9) | 7(20.6) |
| L4とL5棘突起の中間 | 10(14.3) | 4(11.8) |
| L5棘突起の上縁 | 2(2.9) | 3(8.8) |
| L5棘突起の中点 | 0 | 2(5.9) |
| 70体 | 34体 |
平田(本書のための調査)

図33 骨盤計測法(寛骨外面)(図33-38の数字はマルチン式項目番号)

図34 骨盤計測法(寛骨内面)

図35 骨盤計測法(前面)