https://funatoya.com/funatoka/Rauber-Kopsch.html
右心室の外壁は緩やかに膨らみ、左上方に伸びて円錐状となり、大動脈の上を越えて突出している。この部分を動脈円錐(Conus arteriosus)という。動脈円錐は比較的強い筋肉の隆起である室上稜(Crista supraventricularis)(RK625(心窒壁を開いて房室弁の装置を示す) )によって房室口から区切られる。内側壁は心室中隔から形成されているが、この中隔は右心室内に向かって膨らんでいるため、右心室内腔は比較的狭くなっている。その横断面は半月形で、左方に向かって凹み、右前方に向かって膨らんだ形状を呈する。壁の内面は内側(中隔表面)にも外側にも多数の肉柱が存在するが、これらは動脈円錐に向かうにつれて次第に弱まり、最終的には消失する。
乳頭筋(Musculi papillares)には、前方に位置する1つの強大な前乳頭筋(M. papillaris ventralis)と、数は多いが形状はより小さい小乳頭筋(Mm. papillares parvi)がある。前乳頭筋の基部には中隔から中隔縁柱(Trabecula septomarginalis)が延びている。房室弁(RK621(閉鎖状態の心臓の諸口と弁) 、RK625(心窒壁を開いて房室弁の装置を示す) )には3枚の主尖があり、さらに2枚の補助尖が加わっていることが多い。主尖の数から、この弁を三尖弁(Valvula tricuspidalis)という。主尖は位置によって前尖(Cuspis ventralis)、後尖(Cuspis dorsalis)、中隔尖(Cuspis septalis)と呼ばれ、このうち前尖が最大で、中隔尖が最小である。
後尖と中隔尖が融合して1枚になっていることも珍しくない。また、尖の数がさらに多くなっていることもある。腱索(Chordae tendineae)は主に乳頭筋から出るが、心室壁、特に中隔から出るものも若干存在する。1つの乳頭筋から、あるいはかなり大きな1つの乳頭筋が複数に分かれているときには、その分枝した1組から出る腱索は尖と尖の間に向かって進み、その後別々に分かれて2枚の尖に付着する。
動脈円錐から肺動脈への移行部には肺動脈弁(Valvula a. pulmonalis)があり、これは右半月弁、左半月弁、後半月弁(Velum semilunare dextrum, sinistrum, dorsale)という3枚の弁尖からなる(RK621(閉鎖状態の心臓の諸口と弁) )。