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図270(男性の膀胱、尿管、精嚢、前立腺、尿道：後方からの図)
尿道の隔膜部は前立腺の尖端から尿道海綿体球までのびており、尿生殖隔膜の正中部を貫いている。そのため、この部分の尿道は横紋筋束に包まれている。詳細は会陰の項を参照されたい。
隔膜部の前面は約2cmの長さだが、後面は1.5cmしかない。これは尿道球に斜めに入り込むためである。この部分は尿道の中で最も狭いが、かなりの拡張性を持つ。中央部の全周は約1.5cm、下端部では1.2cmである。尿生殖三角を貫く際、その前面は凹状を呈し、恥骨弓の尖端から約2cm離れている。
隔膜部の粘膜では、前立腺部の単層円柱上皮が徐々に重層円柱上皮に移行する。粘膜下組織には、尿道前立腺部の海綿状組織が連続して尿道を取り巻いている。
筋層は内側の縦走平滑筋層と外側の輪走平滑筋層からなる。さらにその外側には、横紋筋からなる隔膜尿道括約筋（M. sphincter urethrae diaphragmaticae）の束が続いている。詳細は会陰の項を参照されたい。