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構造と解剖学的特徴
組織学的特徴
生理学的特徴
外耳道は耳甲介腔の底から鼓膜まで伸び、軟骨性部分と骨性部分からなる。軟骨性の外耳道Meatus acusticus externus cartilagineusは耳介から直接内方へ続く部分で、外耳道全長の約1/3を占め、骨性の外耳道が残りの2/3を占める。
外耳道は内方へ進むにつれて角をなして前方へ湾曲する。これは水平断面で最もよく観察できる。一方、前額断(図666(左側聴覚器の概観図))では、外耳道は上方に凸の円蓋を形成して湾曲している。この円蓋の頂点は、前方への最も強い湾曲点(前述)よりもさらに内方に位置する。すなわち、後者は外耳道の軟骨性部分に、前者は骨性部分に属している。鼓膜は既述の通り、斜めの方向で外耳道を閉鎖している。鼓膜のこの方向を延長すると、頭蓋の正中面において上後方に開いた角度を形成する。
外耳道の長さはv. Tröltschの計測によれば、直線距離で前壁2.7cm、下壁2.6cm、後壁2.2cm、上壁2.1cmである(松島の研究では日本人もほぼ同様の数値を示す。詳細は岩田惣七『東京帝夫医学部紀要11』1914年、松島伯一『医学研究4巻6号』1929年を参照)。なお、この計測では耳珠を前壁の限界とせず、外耳道後壁の限界を通る矢状面を外耳道の外方端として基準としている。
外耳道の広さは中央部、すなわち骨性管の始まりの部分が最も狭い。横断の直径は入口で最も大きく8~9mmあり、奥の方では6~7mmとなる。個体差はかなり顕著である。
外耳道の軟骨についてはb) 耳軟骨 Ohrknorpelを参照されたい。
骨性外耳道はその鉛直断が卵円形であり、外方部では卵円形の長軸が上下方向に、内方部では斜めに向いている。骨性外耳道は斜めに内前方へ走っている(図666(左側聴覚器の概観図))。その壁は主として側頭骨の鼓室部によって形成されるが、上方の一部は側頭骨の鱗部が境界をなしている。骨性外耳道は鼓室輪溝Sulcus anuli tympaniciという溝で終わり、この溝に鼓膜が付着している。全周のうち上部のみこの溝が欠如しており、そこには鼓膜切痕Incisura tympanicaという側頭鱗の切痕が存在する。