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目次(VI. 感覚器)

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図605(右眼球の断面図)

解剖学的位置と特徴

生体での外観

網膜の厚さ

視紅(ロドプシン)

網膜の黄斑は視神経乳頭の4mm外側、乳頭と同一水平面よりやや下方に位置する。黄斑は黄色い色素を有し、長軸を横にした卵円形で、中央部が強く陥凹している。この陥凹した黄斑内の凹部を中心窩と呼び、その位置はほぼ眼球の後極に相当する。

黄斑の横径は約2mmであるのに対し、中心窩は0.2~0.4mmである。視神経乳頭の中央から中心窩までの距離は3.915mmである。

生体眼底鏡検査では、黄斑および中心窩の部位は赤褐色ないし褐色を呈し、中心窩は薄く透明なため下層が透見される。一方、網膜剥離時や死後の眼では網膜が不透明となり、下層組織が透見されなくなるため、黄斑の黄色調が明瞭となる。

網膜の厚さは乳頭縁から鋸状縁に向かって徐々に減少する。乳頭部では約0.4mmあるが、内側へ8mm離れると0.2mmとなり、鋸状縁付近では0.1mmまで薄くなる。乳頭外側では黄斑と中心窩の存在により、厚さの変化パターンが異なり、黄斑最厚部は0.49mmに達するが、中心窩底部では0.1~0.08mmとなる。

新鮮な網膜は光にさらすと一時的に無色となるが、暗所では赤紫色を保持する。この色調変化は組織の死滅ではなく、光の作用による。この色素は視紅Sehpurpur, Rhodopsinと呼ばれ、網膜の杆状体の外節に存在する。ただし、視紅は黄斑、中心窩、および鋸状縁に続く幅3~4mmの辺縁部には存在しない。