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片山正輝

目次(II. 筋系)筋系の図譜

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解剖学的特徴

神経支配と機能

解剖学的変異

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RK506(頚筋と舌骨上筋 I)

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RK508(頚部の筋および舌骨上筋 II)

僧帽筋が頭蓋を上肢帯の後部と結合させるのに対し、胸鎖乳突筋は頭蓋を上肢帯の前部と胸骨に結合させる。

この筋は強力に発達し、頚部を斜めに走行する。2つの頭部を持って起始し、胸骨部(Pars sternalis)は胸骨柄から、鎖骨部(Pars clavicularis)は鎖骨の胸骨端から起こる。鎖骨部は胸鎖関節の外側で鎖骨に始まり、徐々に胸骨部の下方へ移動して合流し、乳様突起の外面および分界項線に沿って停止する。

鎖骨部と胸骨部、および鎖骨の間には三角形の空間が形成され、皮膚表面でくぼみとして視認・触知できる。このくぼみは小鎖骨上窩(Fossa supraclavicularis minor)と呼ばれる(RK151(**人体の諸部分:**頚と頭))。この三角の底部には内頚静脈と総頚動脈が位置する。

**神経支配:**副神経および頚神経叢による。これは由来を同じくする僧帽筋と同様の支配である。

**脊髄節との関係:**副神経、C. II, III

**作用:**両側性収縮時は、顎を軽く上方に挙げながら後頭部を前方に引く(主に空間における頭部の位置を変えるが、頚部脊柱に対する頭部の位置関係の変化は比較的少ない)。一側性収縮時は、頭部を反対側に回旋し、かつ傾ける。頭部固定時には、吸気筋として機能する。

**変異:**この筋の下部には1本または2本の腱画があり、発達程度は様々である。W. Krause(1876)によれば、この筋は4頭からなるM. quadrigeminus capitis(頭四叉筋)とみなすべきという。すなわち、Caput sternomastoideum(胸骨乳突部)、Caput sternooccipitale(胸骨後頭部)、Caput cleidomastoideum(鎖骨乳突部)、Caput cleidooccipitale(鎖骨後頭部)である。これら4つの筋の様々な離合集散によって、この筋の変異が説明できる。胸骨乳突部は非常にまれに欠如し、鎖骨後頭部あるいは胸骨後頭部の欠如は比較的頻繁である。胸骨後頭部はまれに独立しており、鎖骨後頭部の独立はしばしば見られる(Woodによれば36%)。