力強い筋で、その起始腱は膜様となって下方に続く。終腱も平たく、膝関節包の高さで中央・内側・外側の3つの索に分かれる。中央の索は筋の走向に沿って下方へ走り、一部は膝窩筋の前で脛骨の内側顆の後面に、一部は膝窩筋の後方で膝窩筋膜に固着する(RK578(下腿の筋群) )。内側の索は水平方向に曲がり、脛骨の脛側顆の浅い溝に固着し、膝関節の内側側副靱帯(Lig. collaterale tibiale)に覆われる(RK446(膝関節:内側面)、447(膝関節:外側面) )。外側の索は斜膝窩靱帯(Lig. popliteum obliquum)となって膝関節包の後壁に入り、斜め上外側に進む(RK444(膝関節:前面観)、445(膝関節:後面観) )。
この腱が3分岐する直前に、この腱と腓腹筋の脛側頭との間に1つの粘液嚢があり、また内側の索と脛骨の内側顆との間にも1つの粘液嚢がある。
**神経支配:**脛骨神経
**脊髄節との関係:**L4, L5, S1
**作用:**半腱様筋と同様。大腿を後方に伸展し内転させ、下肢を固定する。また、骨盤を起こし、下腿を屈曲させ内旋する。
**変異:**この筋は完全に欠如していることがあり、また全長にわたって重複していることもある。筋と腱の量的関係は極めて多様である。この筋が完全に筋性であることもあれば、完全に腱性であることもある。その起始は(非常にまれに)仙結節靱帯の上に延長していることがある。斜膝窩靱帯が欠如していることもある。極めてまれに、この筋の停止腱の延長が1つの筋、すなわち下腿(腓腹)筋膜張筋(M. tensor fasciae cruralis [suralis])を介して下腿筋膜に達していることがある。