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RK492(腹筋)

錐体筋は小さな筋で、腹直筋の停止部の前方に位置する。恥骨から幅広く起始し、腹直筋鞘前葉の後方、白線の近くを通り、上方に向かって徐々に細くなり、白線に停止する。

日本人成人における錐体筋の欠如率は、両側欠如が153体中5体(森田)、100体中5体(河合)、77体中5体(松島)、片側欠如が148体中5体(森田)、100体中4体(河合)、77体中2体(松島)と報告されている(松島伯一:実地医家と臨床, 4巻, 750, 1927; 河合松尾:解剖学雑誌, 9巻, 182~197, 1936; 森田信:医学研究, 14巻, 933~946, 1940)。

九州人では、60体中96.7±1.72%に錐体筋が存在する(中村盛三:熊本医学会雑誌, 11巻, 1251~1261, 1935)。

**神経支配:**主に第12胸神経からの支配を受けるが、腸骨下腹神経、腸骨鼡径神経、および陰部大腿神経からの枝を受けることも珍しくない(Eisler)。

**脊髄節との関係:**Th. XII (L.1, II)

**作用:**白線を緊張させ、腹直筋と同様の作用を示す。

**変異:**この筋は16.2%(Le Double)から25%(W. Krause)の頻度で欠如する。性別では、男性の13%、女性の10%に欠如が見られる(SchwalbeおよびPfitzner)。中国人の調査(Wagenseil 1927)では、80例中わずか1例のみに欠如が見られた。幅と長さの個体差は顕著である。まれに重複が見られ、極めてまれに1つの腱画を有することがある。