下腿骨間膜および腓骨中間部の内側面から起始する。その腱は筋の前縁で始まり、十字靱帯の下でその中央の管を貫通し、長母趾伸筋腱鞘（Vagina tendinis m. extensoris hallucis longi）に包まれて第1中足骨の背側面上に位置する。
この腱は母指の指背腱膜に移行し、その末節骨底に停止する（RK581(足背における筋と腱) ）。日本人における長母指伸筋の停止腱に副腱束が出現する頻度は、204体側のうち203体側（99.5%）であるが、その多くは発達が弱い（河合松尾：解剖学雑誌、8巻、261～269、1935）。
この筋の上部は下腿の表層に達せず、深部に位置し、前脛骨筋および長指伸筋に被覆されている。
**神経支配：**深腓骨神経
**脊髄節との関係：**L4, L5, (S1)
**作用：**母指の伸展、挙上、および足の背屈補助。足部固定時には下腿の前方屈曲に寄与する。
**変異：**稀に、この腱が第1中足骨に1つの腱束を送ることがある。時に、この腱束の代わりに M. extensor hallucis longus accessorius（副長母指伸筋）と呼ばれる筋束が存在する。この過剰筋束が前脛骨筋あるいは長指伸筋から分岐することがある。