前腕の両骨は、肘関節橈尺部(Pars radioulnaris articuli cubiti)および**[遠位]橈尺関節**(Articulus radioulnaris distalis)と呼ばれる2つの関節と、前腕骨間膜(Membrana interossea antebrachii)という骨間膜によって互いに結合している。そして両骨の上端の関節面によって、上腕骨の下端とともに肘関節(Articulus cubiti, Ellenbogengelenk)を形成している。
(RK416(肘関節:屈側)、417(前腕の骨とその結合)、RK418(肘関節:前後方向撮影)、419(肘関節:側面撮影) 、RK423(尺骨上部と橈骨輪状靱帯)、424(橈骨および尺骨の遠位部と関節円板の結合状態)、425(肘関節の橈尺部)、426(**肘関節:**橈側面観) )
RK418(肘関節:前後方向撮影)、419(肘関節:側面撮影)
RK423(尺骨上部と橈骨輪状靱帯)、424(橈骨および尺骨の遠位部と関節円板の結合状態)、425(肘関節の橈尺部)、426(**肘関節:**橈側面観)
この関節を構成する骨は尺骨と橈骨である。
関節面は橈骨の関節環状面(Circumferentia articularis radii)と尺骨の橈骨切痕(Incisura radialis ulnae)である。
尺骨の橈骨切痕は、凸側を下方に向けた三日月形をしている。この切痕面は橈側に凹を向け、直径12~15mmの円柱面の中心角60~90°に相当する。ただし、Fickのより詳細な研究によれば、この面は円錐面とする方が正確だという。軟骨被覆は中央部で最も厚く、前後で著しく薄くなる。橈骨の関節環状面は橈骨小頭の上部周囲にある。この面は尺骨の橈骨切痕に接して滑るだけでなく、橈骨輪状靱帯(後述)の内面にも抱かれて滑る。関節環状面の「関節部」(Gelenkteil)、すなわち尺骨の切痕内で滑る部分は、全周の1/3~1/2を占める。この部分は最も幅広い(高い)ところで4~6mmあり、前後で幅が狭く(低く)なる。
関節包と関節腔については肘関節の項(292頁)を参照されたい。
特殊構造として、幅(高さ)約1cmの強靱な橈骨輪状靱帯(Lig. anulare radii)がある。
これは尺骨の橈骨切痕の前後両縁に付着し、全円周の4/5を形成する。その形状は漏斗状で、下方の狭まった口が橈骨頚を包む。内面にはしばしば薄い軟骨層が存在する(Fick)。
(RK416(肘関節:屈側)、417(前腕の骨とその結合) , RK432(左手の関節) )
この関節は橈骨と尺骨によって構成される。
関節面は尺骨の関節環状面(Circumferentia articularis ulnae)と橈骨の尺骨切痕(Incisura ulnaris radii)からなる。さらに、関節円板の上面と尺骨小頭の下端の軟骨被覆部分も関節面に含まれる。
橈骨の尺骨切痕は、前述の尺骨の橈骨切痕と酷似している。すなわち、半月形の輪郭を持ち、直径2.6~3.5cmの円柱面の中心角45~70°に相当する。その軟骨の厚さは2mmである。尺骨の関節環状面は鎌形で、尺骨小頭の全周の半分のみを占める。この面は中央部で幅(高さ)が1cmあり、掌側および背側に向かうにつれて狭く(低く)なる。この面は下方で、尺骨小頭の下面を茎状突起の基部まで覆う半月形の関節面へと移行する。その移行部では、大小様々な角度で比較的鋭い稜が形成される(RK432(左手の関節) )。両関節面の軟骨の厚さは約1.5mmで、深層は硝子軟骨、表層は線維軟骨からなる。
関節包は緩く広い。これは関節面の側縁と関節円板に付着している。この関節包の一部が上方へ折れ返り、広い袋状の突出部を形成する。これを嚢状陥凹(Recessus sacciformis)という。関節腔は広く、滑膜ヒダや滑膜絨毛を有する。
この関節腔は、橈骨切痕の下縁に接する関節円板の起始部にある狭い裂隙を通じて、橈骨手根関節と交通していることが多い。また、高齢者では関節円板の中央にかなり大きな穿孔が生じることがある。
特殊構造として、既に言及した関節円板(Discus articularis)がある。
これは三角形の結合組織板で、その橈側部と尺側部は線維軟骨性である。橈骨の尺骨切痕の下縁から起こり、尺骨の茎状突起の基部とそこに存在する窩に付着する。この円板が遠位橈尺関節と橈骨手根関節とを分離している。