https://funatoya.com/funatoka/Rauber-Kopsch.html
キヌタ骨は開いた2本の根をもつ歯のような形をしている。隣接するツチ骨に対して、キヌタ(砧)に似ているためこの名がついたとされる。
キヌタ骨体Corpus incudisはツチ骨の小頭の後方、鼓室上陥凹内に位置する。ツチ骨小頭との関節面は前方を向き、深く切れ込んだ鞍状を呈している。キヌタ骨からは2本の突起が伸びており、そのうち長い方を長脚Crus longumという。この長脚は鼓室内でツチ骨柄の後内側をほぼ垂直に下降し、先端に向かって徐々に細くなる。
その末端部は少し内方へ曲がって急に細くなり、その端には小さい卵円形の結節部があって豆状突起Processus lenticularisとよばれる。成人ではこの部分がキヌタ骨と骨性に結合している。短い方の突起は短脚Crus breveとよばれ、扁平に後方へ伸びて急に細くなり、後キヌタ骨靱帯Lig. incudis posteriusという結合組織線維束によってキヌタ骨窩の中で乳突洞口の底に固定されている。