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目次(IV. 内臓学)

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図337(骨盤筋膜の後部)

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図338(骨盤筋膜:前部)

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図339(男の骨盤筋膜)

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図340(男性骨盤の前方部の前額断面図)、341(すべての被覆物を除去した外骨盤隔膜筋膜の様子)

骨盤筋膜は小骨盤の前壁、側壁、後壁から起こり、壁側部(外側部)の骨盤筋膜Fascia pelvis(狭義)と臓側部(内側部)の骨盤内筋膜Fascia intrapelvinaに分けられる。その起始は前方では恥骨から、側方では内閉鎖筋膜から、後方では仙骨から起こり、仙骨の前仙骨孔の周囲で腱性の弓を形成している(図337(骨盤筋膜の後部) )。尾骨の初部で各側の起始が正中線上に集まる。梨状筋の骨盤内部分はこれから薄い被膜を受ける。

臀動静脈の通過部には卵円形の孔が形成され、この孔には骨盤筋膜の外側部の鋭い縁が内側に向かって凹弓を描いている。この弓は仙腸関節の上端から坐骨棘に張られる。この筋膜の外側部には白い腱性の条があり、これを骨盤筋膜腱弓Arcus tendineus fasciae pelvis(図338(骨盤筋膜:前部)図339(男の骨盤筋膜)、11)という。これは下方に軽く突出した弓を描き、恥骨結合の下部から坐骨棘まで伸びている。

この腱弓は骨盤筋膜と、下内側に向かう内骨盤隔膜筋膜Fascia diaphragmatis pelvis internaとの境界となっている。後者は肛門挙筋の内面を覆う。この腱弓の上方には外側骨盤裂孔Hiatus pelvinus lateralis(図339(男の骨盤筋膜)、12)と大きな閉鎖筋裂孔Hiatus obturatorius(図339(男の骨盤筋膜)、g)がある。前者は細い血管のみを通し、後者は内閉鎖筋膜に属する。

骨盤筋膜は骨盤筋膜腱弓から肛門挙筋の上を内側に進み、その部分の内臓に達して内骨盤筋膜としてそれらを覆う。具体的には、前立腺被膜Capsula prostatae(図339(男の骨盤筋膜)、15)となって前立腺を包み、さらに膀胱、直腸、腟にも至り、これらの器官を包む線維性の外膜に連続する。内骨盤隔膜筋膜の一部が強靱化し、(左右の)恥骨前立腺靱帯Ligg. puboprostatica(女性では恥骨膀胱靱帯Ligg. pubovesicalia)を形成する。これは恥骨結合の下端から起こり、前立腺の前面または膀胱に達する(図339(男の骨盤筋膜)、14)。

肛門挙筋の外面も筋膜で覆われており、これを外骨盤隔膜筋膜Fascia diaphragmatis pelvis externa(図333(男性の会陰と骨盤出口の筋II)図340(男性骨盤の前方部の前額断面図)、341(すべての被覆物を除去した外骨盤隔膜筋膜の様子) 、4)と呼ぶ。この筋膜と内閉鎖筋膜との間が坐骨直腸窩Fossa ischiorectalisであり、ここには脂肪組織、神経、血管が充満している。

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[図338]骨盤筋膜:前部(1/2)

背側に折り返された膀胱を伴う腹側骨盤壁。(Henleによる)。

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[図339]男の骨盤筋膜(9/20)内側からの視点。

骨盤を矢状断し、骨盤および腹壁の筋膜を剖出している。精管は切断され、膀胱は右下方に引き下げられている。1 第5腰椎、2 仙骨、3 尾骨、4 恥骨結合、5 前腹壁、6 弓状線、7 腹膜下鼠径輪、8 大腿動脈輪中隔、[9 閉鎖筋裂孔]、10 骨盤筋膜、11 骨盤隔膜腱弓、[12 外側骨盤裂孔]、13 梨状筋膜、14 恥骨前立腺靱帯、15 前立腺被膜、16 精嚢腺、17 膀胱、18 尿管、19 精管、20 精巣動静脈、21 直腸、22 大腿動脈、23 左総腸骨動脈、24 外腸骨動脈、25 下腹壁動静脈、26 内腸骨動脈、27 上臀動脈、28 膀胱動脈、29 閉鎖動脈、30 閉鎖神経。