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この筋膜は丈夫な結合組織の板で、舌骨から胸骨および鎖骨にまで達している。
胸骨の上方では、浅頚筋膜と中頚筋膜の間に脂肪を含む結合組織で満たされた裂隙、すなわち胸骨上隙Spatium suprasternaleがある。これは胸骨近くを横走する頚部の静脈、頚静脈弓Arcus venosus juguliにより貫かれている。この静脈弓は側方に進み、胸鎖乳突筋の後ろで後浅頚静脈あるいは近接する鎖骨下静脈に達する。中頚筋膜は鎖骨の背面に付着し、両側の胸鎖乳突筋の間でその浅葉の後ろに位置する。側方ではこれらの筋の後ろに入り、頚部の大血管群および縦走する神経の上を越えている。この筋膜は肩甲舌骨筋の鞘を形成し、同筋の上腹の側方にさらに広がりながら徐々に薄くなり、最終的に深頚筋膜の浅層の側方への延長部と合するとともに、浅頚筋膜とも結合する。肩甲舌骨筋の中間腱はこの筋膜と強固に癒着し、下腹はこの筋膜に包まれている。中頚筋膜は下腹より背方で消失するが、前方ではより発達している。多くの例では、ここで線維が上方に凸の低い弓状をなして走り、第1肋骨との間に横裂Querspalte（Henle）を形成している。ここを通って鎖骨下静脈が胸郭の外面から内部へと走る。肩甲舌骨筋はこれと密接に結合しているため、中頚筋膜を緊張させる働きがある。
[図511]頚筋膜 Fasciae colli（3/5）
耳下腺と顎下腺を除去してある。胸鎖乳突筋の下部は、頚筋膜の浅葉の対応部分とともに切除してある。
[図512]頚筋膜
第6頚椎の高さにおける頚部の横断面