この関節は環椎と軸椎によって形成される。
関節面:両骨は4つの場所で関節結合している。
両骨には次の7つの関節面がある: 1, 2. 軸椎歯突起の前および後関節面(Facies articularis ventralis, dorsalis) 3, 4. 軸椎体の外側関節面(Facies articulares laterales) 5, 6. 環椎の下関節面(Facies articularis caudalis) 7. 環椎前弓の歯突起関節面(Facies articularis dentalis) さらに、環椎横靱帯の前面は軟骨で覆われており、第8の関節面として機能している。
4つの関節のうち2つは軸椎の歯突起にあり、前および後環[椎]歯[突]関節(Articuli atlantodentales ventralis et dorsalis)と呼ばれる。1つは前方に、もう1つは後方に位置する。残りの2つは対をなす側方の関節で、外側環軸関節(Articuli atlantoepistrophici laterales)と呼ばれる。
これら4つの関節の関節腔は、軸椎歯突起の側方にある滑液包によって共通につながっていることが少なくない。しかし、だからといってこれら4つの関節に単一の関節包が存在するとは言い難い。前および後環歯関節の関節包の壁は非常に繊細である。一方、外側環軸関節の関節包はより強固だが、広くて緩い。
特別の装置:
a) 歯尖靱帯(Lig. apicis dentis):歯突起の上端から大後頭孔の前縁中央まで伸びる。この靱帯には、かつて頭蓋まで走っていた脊索(Chorda dorsalis)の遺残が含まれることがあり、時に増大していることもある。つまり、この靱帯は椎間円板の中央部に相当する(RK396(頭蓋と頚部脊柱の関節結合の正中断) )。
b) 翼状靱帯(Ligg. alaria):2本の強靱な靱帯で、歯突起上部から上外側へ伸び、後頭顆の内側縁と大後頭孔の縁に付着する(RK399(軸椎歯突起の諸靱帯) )。
c) 環椎十字靱帯(Lig. cruciforme atlantis):強い横走部である環椎横靱帯(Lig. transversum atlantis)と、これに直交して正中部を走るより細い縦走部からなる。
環椎横靱帯は両端が外側塊のわずかな隆起または陥凹に固着し、歯突起によって後方へ弓状に押し出される。中央部は幅が広がり、軟骨で覆われている。横靱帯の中央から十字の上行部が後頭骨へ、下行部が軸椎体へ伸びる(RK396(頭蓋と頚部脊柱の関節結合の正中断) 、RK399(軸椎歯突起の諸靱帯) )。
d) 蓋膜(Membrana tectoria):幅広く丈夫な線維束で、十字靱帯を後方から覆い、斜台から軸椎体に至る。これは脊柱の後縦靱帯の上部とみなせる(RK392(後縦靱帯)、393(前縦靱帯) 、RK396(頭蓋と頚部脊柱の関節結合の正中断) )。
e)およびf) 前および後環軸膜(Membranae atlantoepistrophicae ventralis et dorsalis):前環軸膜は環椎前弓と軸椎前面の間に、後環軸膜は環椎後弓と軸椎椎弓の間に位置する(RK397(**頭蓋および第1~5頚椎間の関節と靱帯:**前面)、RK398(**頭蓋および第1~5頚椎間の関節と靱帯:**後面) )。
RK397(**頭蓋および第1~5頚椎間の関節と靱帯:**前面)
a) 前環[椎]歯[突]関節(Art. atlantodentalis ventralis):この関節を形成する環椎と軸椎歯突起の両関節面は、1つの円柱面から切り取られた楕円形の部分に相当する。環椎の歯突起関節面では、大多数の例で楕円の長軸が横になっているのに対し、軸椎歯突起の前関節面では長軸が上下に向いている。これらの関節面を覆う軟骨は主に線維軟骨性で、純粋な硝子軟骨ではないようである(Fick)。
関節包は繊細で、1つの溝に固定されている。関節腔は環椎の関節面よりも上下にわずかに突出している。この関節腔は側方へ伸び、環椎後頭関節、後環歯関節、外側環軸関節といった近隣の関節のすぐそばにまで達している。
b) 後環[椎]歯[突]関節:両関節面のうち、軸椎歯突起の後関節面は非常に多様な形状を示す。この関節面は横または縦の卵円形、円形、時には溝状を呈することもある。歯突起の下部に位置し、その湾曲は通常鞍状で、左右方向に凸、上下方向に凹である。0.3~1mmの厚さの線維軟骨で覆われている。Fickによれば、環椎横靱帯の関節面は大きさ、形、組織学的性質ともに、上述の歯突起の後関節面に対応している。
関節包は非常に脆弱である。歯突起の関節面の軟骨縁のすぐ近くに付着しているが、環椎横靱帯に付着する部分では歯突起の左右にある滑液包に移行し、この滑液包はさらに前環歯関節や外側環軸関節とつながっていることがある(Fick)。
c) 外側環軸関節(Artt. atlantoepistrophici laterales):関節面同士の適合性は良くない。左右の関節面はおよそ同一の円錐面の一部とみなされ、その軸は軸椎の歯突起を垂直に貫く。1/2~2mmの厚さの軟骨で覆われている。関節包は非常に薄くゆるやかで、前内側のみ軟骨縁のすぐ近くに付着しているが、その他の部分ではかなり離れたところから起始している。